新入社員のためのコンテンツマーケティング2025 (6)共感されるコンテンツのつくり方 -JTBDを活用しよう―

  最終更新日: 2025.08.19

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  • コンテンツマーケティングとは、見込み客に対して適切なコンテンツを提供することで、態度の変化を促し、最終的に購買へと導いていくマーケティング・コミュニケーションの手法です。本連載では、書籍『DX時代のコンテンツマーケティング』の内容を、初めての方にもわかりやすく紹介していきます。

コンテンツマーケティングにおける重要な考え方がJTBD(ジョブ・トゥ・ビー・ダン)」です。この記事では、初心者の方でも理解できるように、JTBDの基本から、コンテンツマーケティングでの活用方法までをやさしく解説します。 

内容は、書籍DX時代のコンテンツマーケティング』を参考にしています。

 JTBDとは何か? 

「顧客が欲しいのはドリルではなく穴である」。この有名な言葉を聞いたことがある方も多いかもしれません。顧客は製品そのものではなく、それによって得られる結果や目的を求めているということを意味します。

これがJTBDの基本的な考え方です。JTBDは「Job-To-Be-Done」、直訳すると「片づけるべき仕事」という意味です。

代表的なエピソードとして、あるファーストフードチェーンがミルクシェイクの売上改善を目指して行った調査があります。最初は購入者の年齢や性別など属性データを集め、味やサイズを改良しましたが、売上はほとんど変わりませんでした

そこでアプローチを変え、実際に朝早くミルクシェイクを買う顧客に「なぜ買うのか?」を尋ねたところ、「通勤中に退屈を紛らわせたい」「小腹を満たしたい」「片手で長く楽しめる」といった理由が判明しました。

つまり、顧客は朝の通勤という状況で特定の『用事(ジョブ)』を片付けるためにミルクシェイクを選んでいたのです。このように、商品の本当の役割を理解することJTBDの出発点になります。

顧客の行動を決める4つの力

 JTBDを活用するためには、顧客が商品を買うときにどんな力が働いているかを理解することが大切です。これを「4つの力」として整理します。 

 1)現状の圧力(プラスの力) 

  • いまの状況に不満や問題があると、人は行動を起こします。たとえば、洗濯機の乾燥時間が長くなり、夜うるさい音がして困っている。このような「なんとかしたい」という気持ちが現状の圧力です。現状に我慢ができなくなったとき、行動を促されるのです。

 2)新しいソリューションの魅力(プラスの力) 

新しい商品やサービスの魅力も人を動かします。たとえば「最新の洗濯機は乾燥が早く、電気代も節約できる」という情報を知ると興味がわきます。技術の進化や便利さが顧客の心を動かす重要な要素となります。

3)後悔したくないという気持ち(マイナスの力)

  • 「高い買い物だから失敗したくない」と思うのも自然です。特に価格が高い商品ほど、この気持ちは強くなります。「買って失敗したらどうしよう」という不安が購入をためらわせる要因になります。

  • 4)現状を変えたくないという惰性(マイナスの力)

    新しい行動には少し面倒くささも伴います。「設置の立ち会いが面倒」「家の掃除をしないと恥ずかしい」など、現状維持の気持ちがブレーキになります。人は変化を好む一方で、変わることへの負担も感じるのです。

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4つの力を可視化すると何が見えてくる?

洗濯機の買い替えを考えている人の考えを想定してみましょう。

  • 現状の圧力:乾燥に時間がかかり、騒音も気になる
  • 新しいソリューションの魅力:最新モデルは静かで早く乾燥でき、省エネで魅力的
  • 後悔したくない気持ち:高額な投資になるため慎重になる
  • 現状を変えたくない惰性:忙しくて立ち会いが面倒、掃除もおっくう

こうして整理すると、顧客がどんな気持ちで悩んでいるかがよくわかります。実際の購買行動は、これら複数の力が同時に影響し合って決まっていきます。

コンテンツマーケティングでの活用方法

  • この「4つの力」を活用して、コンテンツを企画していきます。顧客が行動を起こしやすいように、プラスの力を強め、マイナスの力を和らげるコンテンツが効果的です。

    【現状の圧力を強めるコンテンツ例】

    • 洗濯機の寿命や買い替え時期を解説する記事
    • 故障時のリスクや修理費用の目安を紹介
    • ・他のユーザーの「買い替えて良かった」体験談を紹介

    【新しいソリューションの魅力を伝えるコンテンツ例】

    • ・最新技術の紹介動画
    • ・10年前のモデルと比較した進化ポイントの解説記事
    • 実際の使用シーンを紹介するレビュー動画

    【後悔したくない気持ちを和らげるコンテンツ例】

    • ・長期的な節約効果をシミュレーションする記事
    • ・実際に試せるデモ店舗の案内
    • ・購入後の保証やサポート内容を詳しく説明する記事

    【現状を変えたくない惰性を打破するコンテンツ例】

    • ・土日も設置可能なサービスの紹介
    • ・設置時の無料クリーニングサービス案内

    簡単予約システムの紹介や訪問時間の柔軟対応 

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 JTBDとペルソナの違いと使い分け

マーケティングでよく使われる「ペルソナ」は、顧客の年齢・性別・趣味などの属性情報から想定される人物像を作る方法です。一方、JTBDは「その人が何を片付けたいのか」という状況に注目します。

たとえば、化粧品のように顧客属性がはっきりしている商品ではペルソナが有効です。逆にビジネスソフトのように「効率的に資料を作りたい」という目的が決まっている場合は、JTBDの方が効果的です。

また、ペルソナにJTBDの視点を加えることで、より具体的で実用的なマーケティング施策が立てられます。状況の理解が加わることで、顧客の行動理由が一層クリアになります。

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まとめ

コンテンツマーケティングは「売り込まずに売る」ための大切な仕組みです。その中でJTBDの考え方は、顧客が本当に望んでいることに焦点を当てる強力な手法となります。

  • 顧客が本当に求めているのは「商品」そのものではなく、「片づけたい仕事」をできるだけ簡単に済ませることである
  • ・購買行動には4つの力(現状の圧力・新しい魅力・後悔したくない気持ち・惰性)が影響している
  • ・コンテンツはプラスの力を高め、マイナスの力を和らげる役割を果たす
  • ペルソナとJTBDを組み合わせると、より具体的な戦略が立てられる

JTBDは、単なる分析ツールではなく、顧客理解を深める「ものの見方」として、今後ますます重要になっていくでしょう。ぜひ、皆さんの実践でもこの考え方を取り入れてみてください。

 

次回は、「コンテンツSEOの基本」について一緒に見ていきましょう。

 

より詳しい内容を知りたい方は、是非下記の書籍をご一読ください。

DX時代のコンテンツマーケティングDX時代のコンテンツマーケティング

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    発刊日:2021年9月27日

    ISBN:978-4-600-00777-5

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執筆:今里

CONTENT MARKETING LAB ライター

※本記事は執筆及び画像作成にあたり、生成AIを利用しています。

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以下はアメリカでコンテンツマーケティングが盛り上がり始めた2012年に行ったインタビューの記事です。コンテンツマーケティング初期の記事なのでこれからコンテンツマーケティングについて勉強したい方に分かりやすい内容になっています。

 

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