CMD2025レポート第5弾:カオスマップ制作は人力の限界へ─AIで実現した大量・高頻度更新

  最終更新日: 2026.02.15

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  • この記事でわかること
    1. カオスマップ制作は、なぜ人力だけではスケールしなくなったのか
    2. 生成AIを前提に、制作プロセスをどのように再設計したのか
    3. カオスマップ制作を通してAI時代において人の役割はどこに残るのか

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▲2017年から9年間続いてきたアンダーワークスのマーケティングテクノロジーカオスマップJAPAN

 

マーケティングテクノロジーの数は年々増え続け、もはや人手だけで全体像を把握し、整理し、更新し続けることは現実的ではなくなりつつあります。

そうした中でアンダーワークスが挑んだのが、「マーケティングテクノロジーカオスマップを生成AIだけで作る」という試みでした。

マーケティングテクノロジーカオスマップとは、広告、CRM、データ分析、コンテンツ管理など、マーケティングに関わる多数のツールをカテゴリー別に整理し、1枚で俯瞰できるようにした一覧図のことです

従来、数百〜数千時間を要していた調査・制作・更新のプロセスは、AIの活用によってどこまで変わったのか。本記事では、9年間続いてきたカオスマップ制作の進化を振り返りながら、生成AIを活用した最新の制作プロセス、その成果と課題、そしてエージェントAI時代における業務の変化についてレポートします。

 

登壇者のプロフィール

田島学
アンダーワークス株式会社 代表取締役
アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア株式会社)やスタートアップ企業を経て、2006年にアンダーワークス株式会社を創業し、代表取締役に就任。大手企業のデジタルマーケティング戦略、マーケティングツール/プラットフォーム構築支援、CDP利活用、グローバルサイトのWebガバナンスなどを専門とする。近年はシンガポールのClickrを買収し、シンガポール・マレーシア市場へも事業を拡大している。


1. 人が全部やる前提は、なぜ崩れたのか

10_chaos_map_1_graph▲当初は300弱だったツール数が今では2,000以上に増え、専門家でも状況が把握しにくくなっています。

 

セッション冒頭で田嶋氏は、マーケティングテクノロジーを取り巻く環境の変化について触れています。

2017年に初版を作成した当初は数百規模だったツール数は、年々増加し、最新版では2000を超える規模にまで拡大しました。加えて、ツールの統廃合やサービス終了、新規カテゴリーの登場など、更新頻度も高まっています。こうした状況について田嶋氏は、「専門家であっても、すべてを人力で把握し続けるのは難しくなっている」と語ります。

丁寧に調査し、整理し、更新するという従来のやり方は、努力不足の問題ではなく、前提構造そのものが限界を迎えている。カオスマップ制作は、その象徴的な例だと言えるでしょう。


2. AIは効率化ツールではなく、前提条件になった

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▲AIだけで作り、継続的に更新するために、従来のPDF形式からWEB形式へ移行しました。

 

今回のカオスマップ制作における最大の転換点は、生成AIを補助ではなく中心に据えた点にあります。

 田嶋氏は「オペレーショナルな作業が非常に多いカオスマップ制作は、AIと相性が良いのではないか」という問題意識から、思い切って「AIだけで作る」ことに挑戦したと説明しました。

実際の制作では、調査・整理・実装・公開・運用までを一気通貫でAIに任せています。

 また、従来のPDF形式からWEB形式へ移行した理由についても、田嶋氏は「更新性」と「データベース化」の重要性を挙げています。年1回の静的な資料ではなく、継続的に更新され、将来的な活用余地を持つ構造へ移行するための判断でした。

 

3. AI前提で業務をどう再設計したのか

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▲AIを使い分けたことにより、これまで長時間かかっていた制作工程が大幅に短縮されました。

 

セッションでは、実際にどのようにAIを使い分けたのかも具体的に語られました。前年版のデータをもとにした調査は生成AIに任せ、カテゴリー単位に分割することで精度を高めたこと。WebデザインやHTML・CSS・JavaScriptの生成、JSON形式でのデータベース化、さらには公開作業やマニュアル作成まで、AIが担った範囲は広範に及びます。

その結果、これまで数百〜1000時間規模かかっていた制作が、田嶋氏自身の作業時間としては50〜100時間程度にまで短縮されたといいます。ここで重要なのは、単に時間が短縮されたことではなく、人の役割が「作業」から「設計・判断」へと移った点です。



4. 「どこまでAIに任せるか」という判断軸

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▲大部分をAIに任せたとしても、最後の詰めには人の判断が必要になると説明されました。

 

一方で、田嶋氏はAI活用の課題についても率直に触れています。特に苦労した点として挙げられていたのが、ロゴ画像の収集と品質管理です。解像度や正式ロゴの判別など、最終的な判断が求められる部分では、人の手による確認や修正が不可欠だったといいます。

この点について田嶋氏は、「80〜90%まではAIが圧倒的に速いが、最後の詰めには人の判断が必要になる」と説明しました。これはAI活用の失敗ではなく、むしろ前提として受け入れるべき特性であり、「どこまでAIに任せ、どこから人が関与するのか」を設計しておくことの重要性が浮き彫りになります。

 

まとめ:コンテンツマーケティングの体制論への示唆

今回のセミナーはカオスマップ制作を題材としたものでしたが、田嶋氏の話からは、コンテンツマーケティング全体の運営体制にも通じる示唆が読み取れます。

人がすべてを抱え込むのではなく、AIを前提に業務を再設計し、人は判断や意味づけに集中する。そのためには、「AIをどこまで信頼し、どこに人の責任を残すのか」という設計思想が不可欠です。

カオスマップ制作は、その転換点を具体的に示した事例として、非常に示唆に富む内容だったと言えるでしょう。

 


 

▼本セッションの内容に興味を持たれた方は、ぜひ実際の動画もご覧ください。

田島さん_本編サムネ

【CMD2025】史上初!AIで作成したマーケティングテクノロジーカオスマップを公開
〜制作プロセスから読み解く、AI時代のマーケティングのあり方〜

 

執筆:ピーター
CONTENT MARKETING ACADEMY リサーチャー
※本記は執筆及び画像作成にあたり、ChatGPTを利用しています。

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