CMD2025レポート第1弾:編集者こそ、N1であれ!「自分が読みたい」と思うメディアをつくる

  最終更新日: 2026.01.19

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  • この記事でわかること
    1.WanQolがバズよりも信頼を優先してきた編集判断
    2.編集部2名でもメディアを継続できる理由と仕組み
    3.カインズだからこそ実現できた、くらしに根ざしたメディア運営

CONTENT MARKETING DAY 2025で行われた本セッションでは、カインズが運営するオウンドメディアWanQol(ワンクォール)の編集長・市川雅彩さんが登壇し、自分が読みたいと思えるメディアを追求するという編集思想について語りました。

ワンクォールでは、バズや商品訴求を最初の目的には置いていません。
「まず自分が一人の飼い主として読みたいかどうか」を判断軸にしています。
本セッションでは、その姿勢を貫くことで、どのように読者との信頼関係が築かれてきたのかが、具体的な事例とともに紹介されました。

登壇者のプロフィール

市川雅彩
オウンドメディア「WanQol(ワンクォール)」編集長。 クリエイティブ職としてキャリアをスタートし、デザイナー・広報・マーケティングと一貫して"伝える"仕事に携わる。コロナ禍を機に東京から地方へ移住。広大なドッグランに犬たちとくらしながら、「誰よりもこのメディアを読みたいN1」として、共感と信頼を積み重ねるコンテンツづくりを続けている。

1. カインズのオウンドメディア WanQol(ワンクォール)とは

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▲WanQol(ワンクォール)はカインズが運営するわんちゃんと飼い主さんのためのメディア。わんちゃんと飼い主の「Qol」=生活の質を向上することをコンセプトにしています。


WanQol(ワンクォール)は、犬と飼い主のQOL向上をテーマにした、カインズのオウンドメディア
です。ペット情報にとどまらず、飼い主のくらしそのものに寄り添うことを目的とし、月間最大130万PVを記録しています。

全国に250店舗を構えるカインズは、犬と一緒に来店できるペットフレンドリーなホームセンターです。一部店舗にはドッグランも併設され、犬と一緒に買い物ができる環境が整っています。

一方で、店舗での体験だけでは、企業としての想いや考え方を継続的に伝えることが難しいという課題がありました。店舗の外でも飼い主とつながり、カインズが大切にしている価値観を伝える場として立ち上がったのが、ワンクォールです。

2. バズを狙わないという編集判断

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▲ワンクォールは「わんちゃんの面白い仕草がバズっている」という記事や、ショッキングなタイトルで感情を煽る記事とは一線を引くと決めています。


市川さんが編集長として最初に決めたのは「やる」より「やらない」を決めるという方針でした。

たとえば、犬のかわいい仕草や面白い行動を強調した、いわゆるバズを狙った記事。こうしたテーマはPVを集めやすい一方で、「かわいく見える行動が、実はストレスや体調不良のサイン」である可能性もあります。

ワンクォールでは、不必要に不安を煽ったり、犬の健康状態を軽視したりする記事は作らないと決めています。PVや話題性よりも、飼い主が正しい知識を持ち、犬とよりよい関係を築ける情報を届けることを優先してきました。

3. 十犬十色のくらしに寄り添うコンテンツ設計

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▲犬との暮らしはキラキラしたものばかりではありません。「大変なことも含めて愛おしい、ということを飼う前にも知ってほしい」という思いで発信をしています。


犬との暮らしは、幸せで癒される瞬間にあふれています。

一方で、いたずらをされたり、思い通りにいかなかったりと、悩みや戸惑いが生まれる場面も少なくありません。ワンクォールでは、そうしたキラキラした側面だけでなく、現実のくらしも含めて伝えることを大切にしています。

また、犬とのくらしは、犬種や体格、年齢、住環境によって大きく異なります。ワンクォールでは、こうした違いを前提に、十人十色ならぬ「十犬十色」のくらしに寄り添うことを編集方針として掲げています。

市川さんは、SEOやバズは「あとからついてくるもの」だと語りました。まず、「自分が一人の飼い主として、本当に読みたいと思えるかどうか」を判断軸にする。その姿勢で記事を積み重ねてきた結果として、多くの人に読まれるようになっているという実感があるそうです。

読者一人ひとりが記事を読んだときに、自分のくらしに当てはめて考えられるかどうか。自分ごととして受け取れるかどうかが、メディアのファンを生んでいくと考えています。

4. 少人数体制と専門家ネットワークが支える信頼

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▲ワンクォールに携わる専門家やライターは皆、大の犬好き。愛犬家たちの「最近こんなことがありました」というリアルな視点にコンテンツのヒントをもらっているそうです。


ワンクォールの編集体制は、編集長の市川さんともう1名の計2名です。それでもコンテンツを継続的に更新できている背景には、100名以上の専門家ネットワークの存在があります。

獣医師、ドッグトレーナー、動物看護師、そして愛犬家のライター。それぞれが異なる立場から、臨床現場の知見や飼い主としての実体験を共有しています。

また、獣医療分野は情報の更新が早く、過去の記事が古くなることもあります。読者から「他のメディアと内容が違う」という問い合わせがあった場合には、専門家に確認し、必要に応じて記事を更新し、丁寧に返答しています。

自分が読者だったらどうしてほしいか。その視点が、編集判断と読者対応の基準になっています。

5. カインズだからこそできるメディアの役割

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▲ペット専門業者や動物病院の運営するメディアには専門性や権威性で劣っても、自分たちの「他とちがう」分野を見つけて、オウンドメディアとしての差別化を図りました。


ワンクォールの特徴の一つが、カインズが大切にしてきた「くらしDIY」という考え方との接続です。くらしDIYとは、料理や掃除、洗濯、収納といった日々の小さな工夫を通して、自分のくらしを自分の手でつくっていくという考え方です。

ワンクォールでは、犬とのくらしにDIYを取り入れる記事を約300本掲載しています。初心者でも取り組めるものから、少し手の込んだ内容まで幅広く、記事を読んだ飼い主が実際に作ってみたという報告がSNSで寄せられることもあります。

読者が自分のくらしに当てはめ、行動につなげていくことが、メディアへの信頼や愛着につながっています。

また、カインズは商品開発にも携わっています。開発者自身が犬や猫を飼い、日々の悩みや気づきから商品が生まれているケースも少なくありません。ワンクォールでは「なぜその商品が生まれたのか、どんなくらしを思い描いているのか」といった開発者の想いも記事として届けています。

まとめと感想

「SEOやバズは、あとからついてくる」。市川さんのこの言葉が印象に残りました。アクセス数ばかりを優先してしまうと、本来大切にしたい視点や問いが、いつの間にか置き去りになってしまうことがあります。

また、「自分が読みたいと思えるメディアは、きっと同じように感じている誰かの心に刺さる」という考え方にも深く共感しました。編集者自身がN1であることは、読者と信頼でつながるための、本質的な編集方針なのだと感じます。
一人の飼い主として感じている疑問や違和感、知りたいと思う気持ち。そのN1の実感に根ざした記事だからこそ、同じような悩みや関心を持つ誰かに届き、結果として多くの人に読まれるのだと思います。
テクニックや指標があふれるこの時代に、ワンクォールの取り組みは、オウンドメディア運営において立ち返るべき原点を、あらためて示してくれたセッションでした。


 

▼本セッションの内容に興味を持たれた方は、ぜひ実際の動画もご覧ください。

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【CMD2025】編集者こそ、N1であれ!「自分が読みたい」と思うメディアをつくる

 

執筆:今里
CONTENT MARKETING ACADEMY ライター
※本記事は執筆及び画像作成にあたり、ChatGPTを利用しています。

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