ガイアックス栗原氏が語る、インフォグラフィックスがコンテンツマーケティングに活用されるケースとは?
どんなコンテンツがペルソナに効くのか…手法を検討する際、その選択肢として常に浮上するのがインフォグラフィックス。このことをテーマにしたセミナーよりガイアックス INBOUND marketing blog 編集長栗原康太氏のプレゼンテーションをレポートする。
8月18日、allWebクリエーター塾が主催するセミナー第10回SwapSkills doubbbleが開催された。「「伝える」を掘り下げるインフォグラフィックス」をテーマに、インフォグラフィックスをもとにユーザーに伝えるために必要なコンテンツとは何かについて、3名の専門家が話をした。
前回のbowlgraphics グラフィックデザイナーの徳間貴志氏による「インフォグラフィックスの制作の現場から」に続き、今回は「マーケティングに活用できるインフォグラフィックス」についてレポートする。
コンテンツマーケティングに求められるインフォグラフィックス
栗原氏は、コンテンツマーケティングが求められている理由として、現代が「情報爆発の時代」となっている点を指摘する。
「総務省の情報流通インデックスによると、平成13年の情報量を100とした場合、情報流通量は平成21年までに198.7と約2倍になっているのに対して、消費情報量は109.1とほぼ横ばい。つまり、世の中に流通する情報量が、実際に消費されている情報量を大きく上回っている」(栗原氏)
情報量が増加している現代においては、アテンションが不足し、発信した情報が届きにくくなっている。そのため、企業は興味関心のある情報を届けることで、関心を向けてもらうことが必要だ。
「興味関心のある情報を発信するだけでは、人はアテンションを向けにくい。必要なのは、情報が「伝わる」ための工夫だ」(栗原氏)
発信するコンテンツが伝わるためには、3つの関門が存在すると栗原氏は語る。
- 見つけてもらえないこと。
⇒どれだけ役立つコンテンツを作っても、発見されなければいけない。 - 選んでもらえないこと。
⇒大量の情報の中から見つけてもらっても、限られた時間の中で、読んでもらえるように選んでもらわなければいけない。 - 最後まで読んでもらえないこと。
⇒サイトに訪れた人が最後まで読んでもらえる保証はなく、コンテンツが相手に伝わるためには、理解しやすい形にしなければいけない。
これらコンテンツが伝わるための3つの関門を、インフォグラフィックスを活用することで、見つけてもらいやすく、興味を喚起し、ビジュアルを通じて伝わる情報として届けることができるという。
インフォグラフィックスとコンテンツマーケティングの親和性に関しては、ソーシャルメディアの普及は、大きな役割をしていると栗原氏は語る。特に画像共有サービスの広がりによって、よりアテンションを向ける道ができたという。ビジュアルは見る人の興味を高め、言葉やデータだけでは伝わりにくい情報を視覚化することによって、テキストに比べて何倍もの情報伝達の違いが出てきている。だからこそ、コンテンツマーケティングは、インフォグラフィックスを活用することが求められているのだという。
マーケティングにおける活用方法と6つの事例
実際にマーケティングとして活用された場合の用途について、栗原氏は6つのコンテンツ事例を挙げた。
ハウツー
ユーザーが持つ疑問に応えることで、購買プロセスをサポートするコンテンツだ。アメリカのソフトウェア企業Marketoは、イベント時にソーシャルメディアでやるべきことのチェックリストをインフォグラフィックスで紹介している。
まとめ
たくさんの情報をまとめることで、資料としての価値を高めるコンテンツだ。ソフトウェア開発のエスキュービズムは、ビジネス向けのタブレットアプリを一覧にまとめたカオスマップを公開するなどしている。
比較
二つ以上の情報の比較をもとに、ユーザーの理解を促進するコンテンツの役割を担っている。リクルートの不動産情報サイトSUUMOでは、マンションと一戸建ての比較をもとにしたインフォグラフィックスを公開している。
リサーチ
自社で集めたデータをもとに説得力を持たせたコンテンツを提供することができる。住友林業のホームテックでは、各種調査データをもとに、中古住宅が選ばれている理由をまとめたインフォグラフィックスを紹介している。
製品紹介
テキストのみだと長くなりがちな製品紹介を、直感的に理解してもらうためのコンテンツだ。大塚製薬のカロリーメイトでは、製品の成分や効用などを、モーショングラフィックスで公開している。
会社説明
読んでもらいにくい会社情報や採用、コーポレートメッセージを、ストーリーをもとに伝わるように表現するコンテンツだ。アメリカのNPO法人で水問題解決に取り組んでいるcharity:water は、団体のメッセージと活動を訴えたモーショングラフィックスを公開している。
インフォグラフィックスを活用したコンテンツ事例を6つに分類し、どういったコンテンツが自社に必要なのかを考える指標として、活用してもらいたいと栗原氏は語る。
重要なのは、目標設定と顧客との継続的な関係性を築くこと
徳間氏も語ったように、KPIといった目標設定をもとに、インフォグラフィックスを制作しなければいけない。そのためには、効果を出すためのチェックポイントをもとに、制作すべきだという。
「インフォグラフィックスは、届けるべき対象が誰かを考えなければいけません。達成すべき目的やゴール、また受け手にとって見るメリットは何か。限られた時間と情報の中で、読んでもらうべき要素を盛りこむことが必要だ」(栗原氏)
インフォグラフィックスは、相手に届けるための道を作ることが大事だ。そのためには、ブログやコラムでインフォグラフィックスを紹介することがまず第一歩だ。ブログ記事にすることで資産とし、さらに検索流入やSEO対策としても効果がある。
次に、ソーシャルメディア上でシェアされること、特に画像系のメディアを通じて伝える工夫が必要だ。プレスリリースを配信し、サービスの利用状況やリサーチ結果などと一緒に届けることで、ニュースメディアによる記事も期待できる。
また、インフォグラフィックスを投稿するサイトがいくつかある。そうしたサイトに登録することで、インフォグラフィックスに興味のある人たちに見てもらう機会も増加する。自社のファンやユーザーがいる場合は、ユーザーに広めてもらうことも一つの手段だ。HTMLタグを発行し、容易にブログやサイト内に埋め込んでもらうツールを用意することで、自然発生的に広がっていく。
インフォグラフィックス以外にも必要な情報を発信することで、より情報が多様化していく。カタログの発行やコミュニティサイトへの誘導、セミナーといったリアルなイベントなどを通じ、インフォグラフィックスをきっかけに興味を持ってくれた顧客に、継続的な関係性を築くための施策を講じるべきだと栗原氏は語る。メールマガジンの登録など、確実にユーザーに情報を届けるための道を作り上げることが、マーケティングとして大きな意味を持つ。
「ユーザーが必要とする最適な情報を提供し、中長期的な関係を構築することを忘れてはいけない。そのためには、ユーザーヒアリングなど、見るべき側の立場や何を知りたがっているかという研究することが求められる」(栗原氏)
インフォグラフィックスを一つのきっかけ作りとして、継続的な自社との関係性を構築すること。コンテンツマーケティングにおいて、インフォグラフィックスを上手に活用する方法を、それぞれで模索していくことが重要だと栗原氏は語った。
執筆:江口晋太朗
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