CMD2025レポート第8弾:コンテンツマーケターがAIエンジニアに聞く—生成AIの仕組みと、コンテンツ制作のこれから
最終更新日: 2026.03.08

この記事でわかること
1. 生成AIはなぜ「それっぽい文章」を書くのか
2. AIはなぜ流暢でありながら誤ることがあるのか
3. AI時代のコンテンツ制作で、人間は何を担うことになるのか
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生成AIは、すでにコンテンツ制作の現場に深く入り込んでいます。
一方で、その生成内容をどこまで信頼してよいのか、どこから人間が判断すべきなのかについては、必ずしも整理されているとは言いがたい状況です。文章が流暢に読めることと、内容として正しいことが同義ではないという感覚は、多くの人がうすうす感じていながら、言語化されないまま使われてきたのではないでしょうか。
セッションでは、コンテンツマーケターから投げかけられた11の問いに対して、AIエンジニアの比嘉氏が答える形で議論が進みました。本記事では、その中から4つの問いに絞って紹介します。
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機能や個別のテクニックを網羅するのではなく、生成AIを制作にどう組み込むかという観点から整理することを重視しました。
具体的には、・生成AIはどのような振る舞いをする存在なのか
・なぜ流暢でありながら誤るのか
・その性質は制作プロセスにどのような制約をもたらすのか
・そして、その前提に立ったとき人間の役割はどう再定義されるのか
という四つの視点で整理していきます。
これらは、仕組みの理解から限界の認識、実務への適用、役割の再定義へとつながる一連の流れを構成しています。
登壇者のプロフィール
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比嘉敏貴 村上健太 |
1. 生成AIはなぜ「それっぽい文章」を書くのか
― 流暢さと信頼性をどう捉えるか
▲生成AIは、人の評価を重ねながら大量の文章を学習し、
続きとして自然に見える語を予測する仕組みのため、文章も自然で流暢に見えやすくなります。
まず押さえておきたいのは、生成AIがどのように文章を生み出しているのかという点です。
セッションの前半で、比嘉氏はこの仕組みを丁寧に解説しました。
結論から言えば、生成AIは意味を理解して書いているわけではありません。大量のテキストを学習したうえで、ある単語のあとにどの単語が続く可能性が高いかを確率的に予測しながら文章を組み立てています。
つまり、内容の正しさを確認しながら書いているのではなく、続きとして自然に見える言葉を選び続けているということです。この仕組みによって、生成AIの文章は非常に自然に読めます。文法は整い、語彙も豊富で、構成も破綻しにくい。流暢さの面では、すでに高い水準に達していると言えるでしょう。
しかし、ここに重要なポイントがあります。流暢であることと、正確であることは別だということです。
生成AIは続きを予測する仕組みで文章を作っています。そのため、文章として整っていても、事実関係や論理が正しいとは限りません。むしろ自然に読めるからこそ、誤りに気づきにくい場合もあります。
この流暢さと正確性の分離こそが、生成AIを扱ううえで最初に理解しておくべき特性です。
生成AIは理解して書くのではなく、予測して書く。その違いを意識するだけで、出力の見え方も大きく変わります。
2. 生成AIはなぜ誤るのか
― 生成AIの限界を理解する

▲生成AIは、「分からない」と答えるよりも応答するほうが評価される傾向があるため、
確信がなくてももっともらしい回答を生成します。
生成AIの誤りは、単なる偶然ではありません。その背景には、モデルの設計そのものがあります。
比嘉氏が強調していたのは、生成AIが正誤を判定してから答えを出しているわけではないという点です。モデルは「正しいかどうか」を検証する機能を持っているわけではなく、入力に対して妥当と見なされる応答を生成する仕組みになっています。
そのため、明確な答えが存在しない場合や、学習データに十分な情報が含まれていない場合でも、空白のままにせず何らかの応答を返します。沈黙するよりも、応答するほうが評価されやすい構造があるからです。
ここで重要なのは、生成AIは「知らない」という状態を自覚しているわけではないということです。確信の有無を判断してから出力しているのではなく、条件に合致する応答を生成しているにすぎません。
結果として、文章としては自然でも、事実関係が不正確だったり、論理が飛躍していたりすることがあります。それは能力不足というより、設計上の特性と言えるでしょう。
生成AIの誤りを防ぐためには、万能性を期待するのではなく、この構造を理解することが出発点になります。正誤を判定する役割は、いまも人間の側に残されているのです。
3. 生成AIは制作プロセスにどう関わるのか
― 実務での扱い

▲生成AIは入力された条件に沿って文章を組み立てるため、
実務ではプロンプトの設計が出力の方向や精度に大きく影響します。
生成AIが正誤を自ら判定しているわけではないとすれば、制作の現場ではどのように向き合えばよいのでしょうか。
比嘉氏が挙げていたのは、プロンプト設計の重要性です。生成AIは与えられた条件をもとに出力を組み立てるため、入力が曖昧であれば、その曖昧さは結果にも反映されます。前提や目的が整理されていなければ、出力の方向も定まりません。
逆に言えば、目的や条件を具体的に示すことで、出力の質は大きく変わります。どの情報を与え、どの視点を求めるのか。その設計次第で、生成される文章の輪郭ははっきりしていきます。
ここで見えてくるのは、AIの役割と人間の役割の違いです。AIは生成を担いますが、何を求めるのかを決めるのは人間です。問いを設計し、条件を定めるのは、あくまで人間の仕事になります。
生成AIを単なる執筆ツールとして後工程に置くのではなく、最初の設計段階から組み込むこと。制作の精度は、入力設計の精度に左右される。そう言っても過言ではないでしょう。
4. AI時代にコンテンツマーケターの役割はどう変わるのか
― 制作の重心が設計と判断に移る

▲生成AIは指示に基づいて文章を生成し続けるため、内容の妥当性や止めどきを人間が判断する必要があります。
生成AIを制作に組み込むとき、最終的に問われるのは人間の役割です。
比嘉氏は、生成AIは文章を生み出すこと自体は得意であっても、「何を書くべきか」を自律的に決めているわけではないと指摘しました。
テーマの設定、読者像の整理、伝える情報の優先順位——そうした判断は人間の側に残されています。
誰に向けて書くのか。
どの視点を重視するのか。
どの出力を採用するのか。
これらは生成の問題ではなく、判断の問題です。
さらに、生成AIは止めなければ出力を続けます。その内容が妥当かどうかを自ら評価するわけでもありません。だからこそ、どこで止めるのか、どの段階で編集を加えるのかといった制御は、人間の責任になります。
こうした特徴を踏まえると、コンテンツマーケターの重心は少しずつ移動していることが見えてきます。
文章を書くことそのものよりも、設計し、問いを立て、出力を評価することへ。制作の中心は、生成から判断へと移りつつあります。
生成AIを後工程の効率化ツールとして使うのではなく、設計段階から組み込む。その前提に立ったとき、マーケターは「書き手」であると同時に「編集者」であり、「設計者」でもあると言えるでしょう。
まとめ:理解したうえで見直す、AI時代のコンテンツ制作
本セッションが示していたのは、生成AIの仕組みそのものよりも、「流暢さ」と「正確さ」が分離しているという事実でした。
文章が自然に読めることと、その内容が妥当であることは別です。生成AIは予測によって文章を組み立てるため、その出力は構造的に誤りを含み得ます。
だからこそ重要になるのは、AIを使うかどうかではなく、「どこで人間が判断を入れるのか」という設計です。何を書くかを決め、どの出力を採用し、どこで止めるのか。その責任の所在を明確にすることが、AI時代のコンテンツ制作には欠かせません。
生成AIは優秀な生成装置になりました。しかし、制作の最終的な責任まで引き受けてくれるわけではありません。
生成AIの技術的な背景をすべて理解する必要はありませんが、その仕組みと限界を押さえたうえで、人間がどこで判断を入れながら使うのかを決めていくことが、これからのコンテンツ制作では非常に重要になるといえます。
書くことが容易になった今、難しくなったのは「判断すること」です。その前提に立ったとき、コンテンツ制作の重心は確実に変わり始めています。
本稿で取り上げたのは、その議論の一端にすぎません。セッションではさらに多くの問いが交わされ、生成AIをめぐる議論は想像以上に広がっていました。
その広がりの中で改めて浮かび上がったのは、生成AIの可能性以上に、人間の立ち位置です。生成AIと向き合うことは、コンテンツ制作の責任と向き合い続けることでもあるのかもしれません。
▼本セッションの内容に興味を持たれた方は、ぜひ実際の動画もご覧ください。
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執筆:ピーター
CONTENT MARKETING ACADEMY リサーチャー
※本記は執筆及び画像作成にあたり、ChatGPTを利用しています。
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