CMD2025レポート第6弾:文字や動画ではなくあえて“音声コンテンツ”!?「会社の“らしさ”を声で届けるワケ」

  最終更新日: 2026.02.23

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  • この記事でわかること
    1.映像制作会社が、あえて「しゃべる広報」を選んだ理由
    2.社内を動かす企画提案の方法と「小さく始める」コツ
    3.社内外に起きた変化と、続けるための運用ノウハウ

映像のプロ集団である映像制作会社KOO-KIがあえて選んだのは音声コンテンツでした。

企業ポッドキャスト ケイシャのしゃべり場は、雑談スタイルでありながら、会話の進行と編集の完成度が評価され、コンテンツマーケティング・グランプリ2024で優秀賞を受賞しています。

「ケイシャのしゃべり場」とは映像制作会社KOO-KIのスタッフによるポッドキャスト番組です。「ケイシャ」とはKOO-KIのKと傾斜(斜めからの視点)を掛け合わせた言葉とのこと。

本セッションでは、その立ち上げの背景から、社内コミュニケーションや採用、社外との関係にどんな変化が起きたのか、そして番組を回すための具体的な進め方まで、かなり実務寄りに共有されました。

登壇者のプロフィール

山内香里
映像制作会社KOO-KI Director
大学でグラフィックデザインを学び、2015年に新卒でKOO-KIへ入社。入社後は映像の世界へと転向し、アシスタント業務を経て、2022年より映像ディレクターとして活動を開始。2021年にはKOO-KI公式ポッドキャスト『ケイシャのしゃべり場』を立ち上げ、企画・演出・MCを担当。
 
泥谷清美 
映像制作会社KOO-KI 広報担当
地方タウン誌、広告代理店、プロモーション会社、駅ビル販促など、多様な業種で経験を積んだのち、2018年に広報未経験ながらKOO-KIへ入社。2021年からは、発案者・山内氏にのっかる形で、KOO-KI公式ポッドキャスト『ケイシャのしゃべり場』の企画・演出・MCにも携わっている。

原山大輝

映像制作会社KOO-KI Assistant Director
九州大学芸術工学部を卒業後、2022年にKOO-KIに参加。アシスタントディレクターとして、主にCG映像の制作に携わる。入社から半年後には、KOO-KI公式ポッドキャスト『ケイシャのしゃべり場』の企画・演出・MCも担当し、映像以外の分野でも活動の幅を広げている。

1. なぜ映像制作会社が音声による広報活動を選んだ?

1-Feb-12-2026-07-25-05-1175-AM▲映像制作会社KOO-KIは、Netflixドラマ『サンクチュアリ-聖域-』や映画『ザ・ファブル』シリーズを手がけた映画監督をはじめ、映像ディレクターやプロデューサー、CGクリエイター達が在籍しています。

 

企業ポッドキャスト運営の起点にあったのは、社内コミュニケーションへの問題意識でした。

ディレクターの山内さんは、新卒で入社して2〜3年が経った頃、同世代の社員が相次いで退社していく状況を目の当たりにしました。その中で「中堅層が少ないことで世代間の距離が生まれ、本音を交わしにくい空気が社内にあったのではないか」と感じたといいます。

そこにコロナ禍によるリモートワークの広がりも重なり、社内のコミュニケーションがさらに希薄になってしまうのではないかという不安が強まりました。

 一方で、広報を担当する泥谷さんも、別の課題を感じていました。

映像制作の現場では、広報担当が作品の背景や空気感を十分に理解することが難しい場面があります。

完成した映像をテキストで紹介しようとすると、どうしても書き手の解釈やバイアスが入り込んでしまうのです。
そうした課題を共有する中で、お二人がたどり着いたのが「音声なら、人柄やニュアンスを伝えやすいのではないか」という考えでした。声であれば、自然なコミュニケーションが生まれ、作品の裏話も話し手の温度感ごと届けることができます。

社内で交わされていた空気を、そのまま社外にも運べる。それこそが、音声コンテンツを選んだ理由でした。



2. ポッドキャスト開設で上司を説得した方法

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▲ポッドキャスト開設の企画を通すために必要だったのは、熱意の押しつけではなく、疑問を先回りして潰す設計でした。

 

  • 企業ポッドキャストを開設するとなると、当然社内でのツッコミが予想されます。雑談を社外に出して面白いのか、何を話すのか、機材はどうするのか、継続できるのか。

    この想定問答に対して、山内さん達は最初から答えを用意していきました。

  •  

     ・提案相手を選ぶ。新しいものに反応しそうな上司を狙い撃ちする

     ・疑問を潰す企画書を作る。市場データや海外事例など、納得材料を乗せる

     ・まず試す。ベータ版を録って、体験として面白さを見せる

     ・最初から複数人で動き、楽しげな空気をつくる

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特に印象的だったのは、最初のベータ版が好評だったことで企画が前へ進んだことです。理屈による説得よりも、実物の体験が強い。これは広報企画全般に通じる話だと思います。



3. 企業ポッドキャストに対する社内外の反応

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▲社内だけではなく、クライアントからの反応も寄せられます。
また、入社希望者や新入社員がポッドキャストを聴くことで、不安軽減・マッチ度アップにも繋がります。

 

番組を始めた直後は、社内の方々は出演に不安や抵抗があったそうです。

自分の声なんて面白くない、浅い話になりそう、リアルな会話じゃないと意味がない。そんな声が出るのは自然です。
ただ、続ける中で反応は変わっていきました。

「番組をきっかけに話しかけやすくなった」

「拠点が違う社員の人柄が見えて業務が円滑になった」

「代表や役員がゲストに出ることで、会社の考え方が伝わりやすくなった」という声もありました。

さらに社外からも「参加したくなった」「社員の顔が見えてくる」と、この取り組みは評判です。


ここでキーワードになるのが、ポッドキャストは深く狭く届くメディアという視点です。プロモーションビデオのように派手には見えなくても、届いた相手との距離が近くなる。

採用においても入社前の不安軽減やミスマッチの減少につながるという話が印象的でした。



4. ポッドキャスト番組の企画から配信までの7STEP

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▲誰を呼ぶか、どんなテーマで話すか、事前にどこまで準備するか。こうした判断を場当たり的にせず、手順として整理しているからこそ、雑談スタイルでも聞きやすさとらしさが両立します。


番組の制作ハウツーはかなり具体的でした。

全体を7ステップに分け、企画の検討は中長期で進めつつ、収録から配信まではおよそ1か月単位で回しているそうです。

ステップの要点は次の通りです。

 

STEP1 企画、ゲスト選定

誰と誰を組み合わせるか、どんな共通点があるかを日々の業務の中から拾い、化学反応が起きる組み合わせを探す。

STEP2 出演交渉&収録日決定

業務優先の前提で調整し、負担の大きさも見込んでスケジュールを押さえる。

STEP3 台本(Qシート)作成

事前に質問項目を渡し、ゲストの不安を減らす。打ち合わせはやりすぎず、収録での新鮮な反応を残す。

STEP4 収録

会議室より、反響しにくい狭い部屋が向くこともある。マイクとの距離やリラックスできるテンション設計も含め、普段通りの会話が生まれる環境を整える。

STEP5 編集&音源確認

言い直しや雑音のカット、間の調整、ジングルやBGMでテンポをつくる。迷ったら自分たちのポリシー(”絶対にオモシロイモノしか作らない”という会社のポリシー)に戻る。事実確認や危うい言い回しも編集で整える。

STEP6 情報整理・配信

複数プラットフォームへ一斉配信できる仕組みを使い、得られた視聴者分析データは社内レポートに活かす。

STEP7 拡散

SNSや自社サイトで告知しつつ、タイトルや概要欄は、キーワード抽出を丁寧に行う。AIでたたき台を作り、最終チェックは人の手で行う。

 

 

ポイントになるのは、ガチガチの台本で縛るのではなく、余白を残して面白さを引き出す設計です。編集の力で聞きやすさが変わるという話も、映像制作の会社らしく説得力がありました。

 

5. ポッドキャストの運営を丸 4年継続できた理由

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▲こだわりすぎると負担が増えて続かなくなる。
できるところまでを毎回積み重ねる設計があるからこそ、品質と継続のバランスが保たれています。

 

継続の壁として挙げられたのは、使用ソフトの勉強や編集作業に時間がかかること、ゲスト調整が大変なこと、そしてこだわりと持続性のバランスです。

それでも配信を丸4年続けられた理由として、最後に強調されていたのが「こだわりすぎない」ことでした。
音のプロほど、もっと良くしたくなる。間を詰めたい、撮り直したい、細部を整えたいと思うものです。
納期がない活動は、やろうと思えば永遠に作り込めてしまう。

だから配信日を決め、そこまでにできることだけをやる。雑談だからこそ、多少荒削りでも人柄や熱意は伝わります。完璧を目指して止まるより、続けることを優先するという割り切りが、運用としての強さになっています。
さらに、企業ポッドキャストは運営する側にとってのメリットも大きいという点が語られました。

自分の発言を客観的に聞ける、同僚の考え方を知れる、会社の歴史が音声としてアーカイブされる、という運営者自身の学びが「継続」のモチベーションになっているようです。

 

まとめと感想

このセッションを通じて感じたのは、KOO-KIのポッドキャストの本質は、会社の「らしさ」をどう伝え、どう残していくかという点にあるということです。

テキストや動画が主流の中で、あえて音声を選んだ背景には、社内コミュニケーションをより良くしたいという思いと、作品や人の空気感を正しく届けたいという広報としての課題がありました。

「社内のすれ違いを減らしたい」「広報として、作品や関わる人の温度をそのまま伝えたい」。そうした目的に向き合ったとき、音声という手段は非常に相性が良く、強い選択肢になり得るのだと感じました。

もう一つの学びは、続けるための設計が具体的だったことです。

提案の通し方、ベータ版で体験を作ること、Qシートで不安を減らすこと、そしてこだわりすぎない運用。どれも、他の会社でも真似しやすい形で設計されていました。

「ケイシャのしゃべり場」にとって音声はバズを狙うためのものではなく、思いを深く狭く届け、距離を縮めるための媒体です。それがミスマッチのない採用や社内コミュニケーションを生んでいきます。

派手な施策ではないのに、積み上がるほど会社の空気が伝わる。

そんな設計の方法を学べるセッションでした。 

 


 

▼本セッションの内容に興味を持たれた方は、ぜひ実際の動画もご覧ください。

KOOKIさん_本編サムネ

【CMD2025】文字や動画ではなくあえて“音声コンテンツ”!?「会社の“らしさ”を声で届けるワケ」

 

執筆:今里
CONTENT MARKETING ACADEMY ライター
※本記事は執筆及び画像作成にあたり、生成AIを利用しています。

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