コンテンツはストーリーを伝えるための器~Russel Sparkman氏インタビュー前編
最終更新日: 2026.05.15

【この記事でわかること】
1.コンテンツマーケティングを「関係づくり」として考える視点
2.「コンテンツはストーリーを伝える器」という考え方
3.購買フェーズごとのコンテンツ設計の考え方
※この記事は2013年に公開されたインタビュー記事です。アメリカでコンテンツマーケティングを手がけるRussel Sparkman氏が、「コンテンツとは何か」「なぜコンテンツが重要なのか」について語っています。単なるSEOや広告の話ではなく、ブランドと顧客の関係性をどう作るかという視点が語られており、現在読んでも学びの多い内容です。
2012年9月4日~6日、アメリカ・オハイオ州コロンバスで開催された“Content Marketing World”。このカンファレンスの休憩時間にたまたまFusionSpark Media社CEOのRussel Sparkman氏と出会う機会がありました。挨拶を済ませ話をしているうちに意気投合。もともとこのFusionSpark Media社はなんと名古屋で設立されたということもあり、日本から来た我々に親近感を持っていただけたようで、インタビューを依頼したところ、快く応じていただきました。
コンテンツマーケティングとコンテンツの定義
この度はインタビューの機会を与えていただき、ありがとうございます。まず1つ目の質問です。“コンテンツマーケティング”をどう定義しますか?
コンテンツマーケティングとは、自社のビジネスに関連性を持たせる、ということだと考えます。つまり、コンテンツを通じて製品やブランド、サービスなどを顧客や関係者らに関連付ける、ということです。そのため、コンテンツは関係性を生み出す内容や、説得力、啓蒙的な要素、そしてエンターテイメント性が備わっていなくてはなりません。この4つの要素のうち、どれかだけでもよいですし、すべてを組み合わせたものでもよいでしょう。
では“コンテンツ”をどのように定義されますか?
“コンテンツ”とはストーリーを伝えるための“器”だと考えています。 “コンテンツマーケティング”は、インバウンドマーケティング、モバイルマーケティング、口コミによるマーケティング、SEO対策…様々なタイプのマーケティングすべてを含む大きな枠組なのです。これらのマーケティング手法は、コンテンツありきで成立するものですからね。このように、今日における“コンテンツ”はマーケティングにおいて極めて重要な枠組みであり、要素なのです。
コンテンツマーケティングをクライアントにも賛同してもらうためには?
とはいえ、未だ従来的なマーケティングにこだわりがありコンテンツマーケティングに理解のないクライアントも多いです。実験的なことを好まず、実行前に明確にROIがはじき出せることを望むクライアントに対して、あなたならどのように説得しますか?
そうですね、私なら、コンテンツマーケティングは効果測定が可能であるということ、そして効果を上げるコンテンツ戦略、という2つの側面から説得すると思います。
今日、私たちはコミュニケーションの効果をかつてないレベルで評価することができるようになりました。今までは印刷広告や広告掲示板の効果を評価することはできなかったため、結果として成功した時にのみ、「何かしらのマーケティング施策が成功したんだな」という、極めて大雑把な評価を下していました。
しかし今日、マーケティング施策をあらゆる側面から評価することが可能となりました。コンテンツを使用している場合は特に測定しやすいでしょう。コンテンツがSNSなどで共有された回数やコメントの数を数えることができます。どのコンテンツから商品購入に至るかというプロセスさえ解析可能です。つまり、顧客がコンテンツを介して行なったあらゆる側面を評価することができるようになったのです。
そして問題は、どう評価できるのか、ということです。これはコンテンツの戦略を立てる時点から決めておく必要があります。その上で目標を設定するため、目標から逆算してコンテンツが目標達成するように企画を立てるのです。このようにして投資収益率を予測することが可能になると説得します。
ですが、それでもコンテンツマーケティングの導入を渋るマーケティング担当者には、私ならこう言います。今やコンテンツマーケティングは競合に勝ち抜く上で不可欠な施策である、と。
なぜなら、いずれかの競合他社がコンテンツマーケティングを導入するのは確実だからです。そして一番重要なことは、コンテンツマーケティングにおいては優れたコンテンツを有するブランドが勝利します。そのため、品質の高いコンテンツを作る必要がある、ということです。
コンテンツの品質を判断する方法とは?
では、“コンテンツの質の高さ”、というのはどのように判断すればいいでしょうか?つまり、クライアントに提案する際、コンテンツの品質を担保するためにどうすればいいでしょうか。
私がクライアントによくいうのは、現代は創造性と想像力の時代だ、ということです。コンテンツの良し悪しは、コンテンツを見て自分自身が刺激を受けているか尋ねてみるといいと思います。クリエイターとして、またクライアントのパートナーとして、そのコンテンツをみてわくわくするか、感動するか。それがまず第一ですね。
そして、コンテンツには様々なタイプのものがあります。そのため、認知、検討、意思決定、共有、などという購買プロセスのそれぞれのフェーズに適したコンテンツを作り、配置する戦略が必要になってきます。
例えば車を売りたいとします。認知段階では思い切り派手なコンテンツや、笑えるもの、美しいものや感情に訴えるものでもいいでしょう。とにかく認知度を高めるのです。感情を動かすストーリーをCMやその他色々な媒体で伝える、という意味では、従来のマーケティグにおいて日本の皆さんが行なってきたことも、我々がアメリカで行なってきたこともあまり変りはありません。
しかし今日では、マーケティングの形が変わり、認知、検討、意思決定の段階までの人々の行動を追跡することができる様々なツールやプラットフォームが出てきました。それらを使用して、実際にコンテンツとの接触を図り、人々をさらに引き込むことができるようになったのです。
たとえば、トヨタのプリウスのCMに興味を抱いた顧客に対して「さらに詳しい技術仕様を含んだコンテンツを提供しては?」と提案します。そして、検討から意思決定に進み始めている顧客に対しては「プリウス購入者が車への満足度を語る動画へのリンクをメールしてみましょう」と提案できるわけです。戦略的にコンテンツを活用する、とはこういうことなのです。
先ほどもお話しましたが、コンテンツマーケティングはブランドにとって大きなチャンスです。その一方で非常に大きな責任でもあります。やるかやらないか、ここに選択の余地はなく、コンテンツマーケティングを導入するか、他の施策を実行して、思い通りの成果が出ないことに気付くかどうかなのです。
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