戦略立案から、実践プロセスまでを解説。
コンテンツマーケティング初心者のための実践テキスト。
前回紹介した書籍“Get Content, Get Customer”の著者でありコンテンツマーケティングの産みの親とも呼ばれるJoe Pulizziと、Contents Marketing InstituteのストラテジストであるRobert Roseの二人によって書かれたこの著書。まさに二人のエヴァンジェリスト(啓発者)の知恵が詰まった、多くのマーケティング担当者が待ち望んだ一冊だ。
内容は2部構成になっており、前半ではストラテジー(戦略)の立て方について、後半ではストラテジーを実践に移していくためのプロセスについて記されている。
前半部分では、ターゲットとなる人物像が「見込み客から顧客へ変化するまで」のストーリーをマーケティング活動に落とし込み、戦略として組み立てる手法が紹介されている。その中でとくに注目すべきは、ペルソナの描き方だ。ただ「詳細に描かれた人物像」ではなく、「ニーズや購買プロセスにまで迫った人物像」こそ、コンテンツマーケティングに必要なものだと解説しているのだ。つまり同じデモグラフィック(人口統計学的属性)に属している顧客層であっても、異なるニーズや購買プロセスを持っていれば、別のペルソナとして分析を行うべきだと説かれている。
著書では、この異なる購買プロセスを持ったペルソナがそれぞれどのようなコンテンツに触れ、どのような変化を遂げて購入に至るかを考察。そのストーリーをコンテンツマーケティングの戦略として立案していく流れが紹介されている。前半部分を読み終えるころには、コンテンツマーケティングの肝ともいえる「誰に、何を、どのような形で伝えるか」という方法をマスターすることができるだろう。
後半部分では、実践していくためのHow-toや心得ておくべきポイントが紹介されている。後半部分の冒頭にコンテンツマーケティングを実践していくためのステップとして
- Create and Manage
~制作と運用を行う~
- Optimize, Aggregate and Curate
~最適化、統合、キュレーションを行う~
- Converse and Listen
~会話をし、耳を傾ける~
- Measure and Learn
~測定し、学ぶ~
というコンテンツマーケティングを実践するための4つのサイクルが紹介されている。各ステップにおいて必要となる人材やツール、注意すべき事項などが具体的に記されているので、コンテンツマーケティングを取り入れる準備段階において、現状の組織体制や業務内容を見直すのに便利だ。
さらに、効果測定の行い方や、ユーザーからの反響に対する対応方法などにも触れているので、目標値や方針を決める上でも、ぜひ参考にしたい内容になっている。
コンテンツマーケティングの重要性を理解し、「自社への導入」という実践のステップに進みたい人に、ぜひ読んでほしい著書である。
- 今回紹介した本 Managing Content Marketing