CONTENT MATKETING DAY 2023 コンテンツver 開催レポート
国内最大規模のコンテンツマーケティング専門のオンラインイベント「CONTENT MARKETING DAY」業界の最前線で活躍するリーダー達が登壇し、マーケティングの成功事例やベストプラクティスについての情報を発信しました。延べ1200名が参加し、ますます盛り上がりを見せた本イベントのレポートをお送りします。
- イベント名:CONTENT MARKETING DAY 2023 コンテンツVer.
- 日時:2023年7月24日(月)~30日(日)
- 参加費:完全無料
- 場所:オンライン開催
- イベントページ:https://lp.contentmarketinglab.jp/cmd2023_cv
テーマと特別企画
今年のイベントテーマは「めざせ、コンテンツマスター」。参加者の皆様は世界を旅する冒険者となり、さまざまなスキルを身に付けることで、コンテンツマスターを目指していきます。
コンテンツマーケティングとは、コンテンツを通して企業と顧客のコミュニケーションを実現することを指します。しかし最適なコミュニケーションというのは企業ごとに異なるため、成果をすぐに得ることはできません。手探りの状態から始まり、地道なコンテンツ制作やフィードバックを続けることで、少しずつレベルを上げ、難敵に立ち向かっていきます。
コンテンツマーケティングは冒険の旅であり、その旅路には多くの発見と挑戦が待っているのです。今年のCONTENT MARKETING DAYコンテンツver.では、そんな冒険者たちを手助けする武器や情報が勢ぞろい。アクセス解析にまつわるお話から、オウンドメディアの裏側、企業noteの活用術など延べ25の冒険ストーリーを動画で公開しました。
また今回のイベントでは新しい試みとして「経験値システム」を採用しました。冒険者がストーリー(動画)を視聴すると、冒険者の経験レベルが上がっていく仕組みです。経験値を溜めることで、修了証をGETしたり、書き下ろしのオリジナルグッズが当たったりなど、さまざまな特典を受けることができます。
【オウンドメディア運営】企業と読者をつなぐnoteコンテンツとは?
公式noteで数百以上の「スキ!」を獲得しているSHARP株式会社と株式会社中川政七商店。noteの担当者であるSHARP社の大嶋 ひとみ氏、佐々木 春花氏、そして中川政七商店の岡本 恭法氏の3名から、コンテンツづくりの秘訣を語っていただきました。
noteは、アカウント一つで情報を発信できる手軽さを持つ一方、コンテンツの数が非常に多いため、記事を量産するだけでは見てもらえない場合があります。SHARP社の公式noteでは他との差別化を図るべく、以下の3つのルールを決めているそうです。
- インタビュー記事ではなく一人称で語る
- 短文ではなく1万字の長文で語る
- 紹介ではなく共感
例えば、記事のテーマが「開発の裏側」だった場合、製品への情熱や開発の裏側を開発者がそのまま読者に伝えます。何のフィルターも介さないまま記事に落とし込むことで、インタビュー記事とは違った共感が読者に生まれると言います。チェックするのは最低限の誤字脱字だけで、内容にはほとんど手を加えないそうです。
また、紹介ではなく共感を伝えるのも重要なポイント。商品の機能を宣伝するのではなく、商品開発のきっかけになった出来事や開発までのプロセス、社員の想いなど、開発までのバッググラウンドを見せることが重要だと言います。
集めたら100種類以上もあった生理用品と僕の話では、1000を超える「スキ」をいただいたという佐々木氏。こうした記事をつくるきっかけや裏側なども包み隠さずお話しいただきました。
また、動画の後半では株式会社中川政七商店のnoteについて、担当者の岡本 恭法氏が解説。中川政七商店のnoteでは「語りべ」と一緒に記事を制作しています。
語りべとは、ずばり公募した読者の皆様。元々「展示会で出ているメーカーさんの商品を先に使用して、そのものの良さや使用感をnoteにて記事を投稿する」という企画で語りべを募集したところ、想定の約15倍、70名を超える応募がありました。そこで、企業noteも一緒に運営できないか?と感じ、語りべさんに呼びかけたのが始まりだったそうです。
寄せられた記事でチェックするのは掲載する商品の価格のみ。語りべが持つ情熱を最大限に記事に落とし込むことで、鮮度の高いコンテンツをnoteで届けることができていると言います。また、制作したコンテンツを展示会やイベントで公開することで、note読者ではない層にもリーチしています。
どうしても企業側が記事を書いてしまうと、企業側の主観や宣伝に偏ってしまうもの。そこをぐっとこらえ「宣伝ではなく、共感してもらうためにどのようなコミュニケーションが良いのか」を考えていくのが重要なのだな、と筆者自身も感じました。
【オウンドメディア運営】オウンドメディアの知識ゼロから7年。専門知識を生かしたオウンドメディアの作り方
介護にプラス「Live+Do」は、大人用紙おむつ・介護用品を手がける株式会社リブドゥコーポレーションが展開する介護生活メディアです。介護に関する専門知識を生かし、介護の暮らしに役立つアイデアを提供しています。
コンテンツマーケティンググランプリ2022の受賞メディアにも選ばれるなど、注目度が高まりつつあるLive+Do。しかし、コンテンツマーケティングやWebメディア運営に関する専門知識が全くない状態からスタートしたと言います。
当時、介護情報を発信する必要性から立ち上がったオウンドメディア。SNSに投稿したこともないほどデジタルに疎かったと笑いながら話すのは、当時の立ち上げメンバーである三宅 浩史氏です。まずはコンテンツを制作したものの、立ち上げ当初はなかなか読者からの反響を得られなかったと言います。
「編集会議には、介護に詳しいメンバーしかいなかったんです。だからこそ読者が求める情報に気づくことができなかった」と語る三宅氏。例えば自社の社員は排せつケアの重要性を深く理解しているものの、はじめて介護する方にとっては、排せつケアは介護全体のトピックの一つでしかありません。このように、無意識のうちに自社のバイアスがかかっているケースが多くあったと言います。
偏った情報を一旦取り払い「読者が求める情報は何だろう?」という問いを突き詰めることが重要だと語ります。
また、7年の運営の歴史の中で「SEOが目的になってしまった」時期もあったそうで、その時のエピソードも、現在の運営担当である岡崎 真規子氏が語っています。
ある時、記事がYMYL(=お金や健康に関する情報)とGoogleにみなされ、アクセスが減少してしまったことをきっかけに、SEO領域に注力。しかし検索キーワードを意識するあまり、文章が不自然になってしまいました。その時改めて、言葉の力を活用して読者に情報を伝える重要性を感じたと言います。
そこでリブドゥコーポレーション社では、「一旦SEOのことは忘れて、本来の目的に立ち返ろう」とコンテンツの方針変換を行いました。この方針変換で、読者の反応もポジティブなものに変わっていったと言います。
このように7年の運営の中で起こった様々なエピソードや、ゼロからの立ち上げ期に必要なトピックなどまとめて紹介いただきました。
【コンテンツ企画制作】小さなアイデアが2300RT超のコンテンツに。ヒットを生み出す近道とは
コンテンツマスターの石井洋氏は、医療系のオウンドメディア「なるほど!ジョブメドレー」の編集長。NAVER JAPAN社(現LINE)やBuzzFeed Japan社での経験も含め、キャリア15年間コンテンツの企画制作に携わり続けてきました。
手掛けた記事が8500超えのいいね!を獲得するなど、数多くのヒット記事を手掛けている石井氏。これらの記事は奇抜な発想から生み出されたものではないと言い「コンテンツの種はすでにみんなが持っている」と語ります。
冒険ストーリーでは、石井氏の実事例をもとに、コンテンツの種の育成方法が紹介されています。
- 何気ない疑問をあえて掘り下げる
- 境遇や体験談をネタにする
- 視点を変える
自社のオウンドメディアでTwitterでは国内で2500RT、韓国では3000RTを達成した事例を紹介。石井氏はスラムダンクの映画を観たとき「桜木がどんなケガをしたのか、その後どうなったのか」が気になったそうです。そこで石井氏は桜木のケガとリハビリ方法について、作業療法士と理学専門士が専門家目線で解説する記事を企画しました。
企画の肝は「トレンドを抑えるだけでなく、記事を通してリハビリ職の認知拡大や理解を深められる」という点。メドレー社が運営するメディアは医療介護がテーマであり、医療介護職について知ってもらうことができれば、自社が持つサービスの認知拡大にも広がります。トレンドを抑えるだけでなく、内容が自社メディアに紐づけられるかは、記事を企画する上で大きなポイントになると感じました。
【調査データ・業務プロセス】データを活用して、コンテンツマーケティングを楽しく最適化しよう
「コンテンツ制作は得意だが、数字やデータは苦手…」という方は多いのではないでしょうか。ウイングアーク1st株式会社野島光太郎氏はデータを見ないままコンテンツ制作だけを続けると、「フェイク」のマーケティングに陥る事態があると言います。
フェイクのマーケティングとは、机上の空論に傾倒してしまい、精度の低い打ち手を続けるマーケティングを指します。本来、コンテンツマーケティングにおけるマーケターの役割は、仮説を実行して顧客に届け、反応を促すこと。しかし、マーケターは顧客と直接顔を合わせるわけではありません。そのため「「実行した施策が本当に効果的だったのか」「そもそも自社の顧客とはどんな人物像なのか」が見えないまま施策を実行しがちだと言います。こうした精度の低い打ち手は、企業として無駄なコストを産むだけでなく、顧客の貴重な時間も奪ってしまいます。
「顧客とのコミュニケーションはデータを使って改善できる」と野島氏は言います。 マーケターが何かしらの仮説を立ててコンテンツを発信することで、読者からの反響が得られます。読者からの反響をデータとして定量的に蓄積し、コンテンツの制作側へ情報を共有することで、打ち手の改善や新しいアイデアの創出につなげることができます。
セッションでは、野島氏の運営するオウンドメディア「データのじかん」の例を取り上げて解説いただいています。元々「データのじかん」は、東京を中心とした来訪者が約43%を締めていました。その一方で、東京以外の特定の地域から「DXデータ活用」「デジタル田園都市構想」という文脈でユーザーが一定数訪問していました。
そこで野島氏は、47都道府県のDXの在り方を訪ねる特設ページ「Local DX Lab」を新たに設置。すると全国各地からの流入が増加し、東京以外の地域に住むユーザーへの認知が高まりました。現在は東京を中心とした来訪者は約30%と、全国各地のユーザーがWebサイトへ訪問しています。
「データを最大限に活用できれば、コンテンツマーケティングほど楽しくコントローラブルかつ本質的なマーケティング活動はない 」と野島氏は語ります。「データを新たなコンテンツづくりの起点に変えていく」という観点で、一度自社が保有するコンテンツやデータを見直してみると、新たな発見が生まれてきそうです。
【学生・新人&転職者向け】大コンテンツ時代に生まれた君たちへ 〜人生という冒険をハッピーエンドにする~
コンテンツは選ばれる時代で、共感を得ることが重要だと語るのは、Grand Master of DATA SaberのKT氏。共感性の高いコンテンツを作る秘訣を語りました。
顧客の解像度を高めて、共感性の高いコンテンツを作ることが重要だと言います。コンテンツが選ばれるために何をすればよいのか、4つのフェーズに分けて解説いただきました。
- 顧客の解像度を高める
- BtoBであっても「楽しむ」
- 自分自身をコンテンツにする
- セルフブランディングを行う
ここではその一部分を紹介します。
顧客の解像度を高める
技術の発展により、現代ではモノやサービスが飽和しています。自分が作りたいコンテンツを押し付けるだけでは、企業側の想いは顧客に届きません。そのため、誰に何を伝えるべきかをもっとクリアにする必要があります。
例えば、小さなことですが「言葉を選び抜く」というのも大きなポイント。何気なく使っている言葉も、実は社内でしか通用しない言葉だったというケースもあります。自分の当たり前が当たり前ではないと気づき、自分ではなく相手にわかる言葉で伝えることが重要だとKT氏は言います。
BtoBであっても「楽しむ」
現代では自動化が進み、あらゆる業務がAIに置き換わりつつあります。そのような時代の中、人だけができるのは「楽しむこと」だと言います。人間の仕事は楽しむことで、AIは楽しまない。共感と楽しさを提供することは、人しかできないとKT氏は言います。
BtoBのコンテンツであっても、自分自身が楽しむことが重要だと言います。そしてBtoBであっても読者は人間。共感を得ることが重要だと言います。
そして共感を得るためのアイデアの源泉は、仕事の外にあります。飲み会のちょっとした発言から、面白いアイデアが生まれるように、日常の楽しいひと時の中に、コンテンツのアイデアは詰まっています。ボーっと活きるのではなく、目の前にあるモノ、景色、人物、情景一つ一つを感じ、楽しむことで、共感性の高いアイデアが生まれるのです。
共感を得るために必要なのは、楽しむことであり楽しませること。セッションの後半では、自分自身をコンテンツ化し発信する方法や、セルフブランディングが「選ばれるコンテンツ」に重要である理由について語っていただいています。
本当に自分は楽しみながらコンテンツを制作できているのか?相手に伝わる表現を徹底できているか?自らの行動を振り返ることができるセッションでした。
【12月4日~】今冬には「CONTENT MARKETING DAY2023」を開催します
冒険者たちの夏は終わったばかりですが、今年のイベントは2回開催です!2023年12月4日~10日に「CONTENT MARKETING DAY 2023」が開催されます。こちらのテーマは「生成AI」。Chat GPTやAIイラストが普及するなかで、コンテンツマーケティングの在り方はどう変わるのか?次回も現場の最前線で活躍する皆様に登壇いただく予定です。
「CONTENT MARKETING DAY 2023」イベントページはこちら
次回のCONTENT MARKETING DAYもぜひお楽しみ下さい!
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執筆:Content Marketing Academy 池口 茉里
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