映像のプロフェッショナル集団が、あえて「音声」を選択——。一体なぜでしょう?
2024年にコンテンツマーケティング・グランプリで優秀賞を受賞した映像制作会社 KOO-KIの企業ポッドキャスト「ケイシャのしゃべり場」。この取り組みの背景には、従来の企業広報とはちょっと違う、温かい視点と工夫がたくさん詰まっています。
みなさん、こんな悩みはありませんか?
・最近、リモートワーク等で社内のコミュニケーションが少し希薄になっている感じがする
・採用希望者や顧客から、あまり興味を持ってもらえていない気がする
・会社の「雰囲気」や「社風」を社外に伝えたいがどうしたらいいかわからない
こんな経験がある方に、ぜひご覧いただきたいセッションです。
映像制作会社 KOO-KIと、ほっこりポッドキャスト「ケイシャのしゃべり場」
福岡からスタートした映像制作会社 KOO-KIさんは、「絶対に面白いものしか作らない」という、素敵な企業ポリシーを掲げています。Netflixドラマ「サンクチュアリ-聖域-」や映画「ザ・ファブル」シリーズを手がけた映画監督をはじめ、TVCMやWEBムービーなどを数多く制作してきた映像ディレクターやプロデューサー、CGクリエイター達が在籍。きっと皆さんも見たことがある作品を手がけています。
そんな映像のプロたちが運営する企業ポッドキャスト「ケイシャのしゃべり場」は、2025年6月で5年目。30代中堅ディレクター山内さん、映像は初心者だけど広報担当の泥谷(ひじや)さん、社歴3年の若手CGクリエイター原山さんの3人が、「まるで会社の飲み会で話すような雑談」をコンテンツにし続けている、とってもユニークな番組です。
始まりは、ちょっとした心配から
きっかけは、同世代の同僚たちが次々と会社を辞めてしまったこと。山内さんは「自分はすごく楽しく働いていたから、本当に驚いた」と振り返ります。
40代の先輩と20代の後輩の間で、なかなか本音で話す機会がなかった。そんな時にコロナ禍も重なって、「これはもっとコミュニケーション不足になっちゃうかも」という心配が生まれました。
そこで思いついたのが、「会社の飲み会のような面白い話を、ポッドキャストで配信したら、きっと誰かが喜んでくれるんじゃないかな?」というアイデアでした。
上司を口説いた作戦と、じわじわ届くポッドキャストの効果
「ポッドキャストって何?」という状況で提案を通すのは簡単ではありませんよね。山内さんと泥谷さんが試した方法は:新しいことが好きそうな上司を狙い撃ち、24ページもの企画書で欧米の成功事例などPodcastのファクトを強調しつつ、実際に録音したベータ版で「意外と面白い」を体験してもらう——結果、役員3人中2人が賛成で企画がスタートしました。
4年間続けてみて分かったのは、「ポッドキャストって、深く狭く届くメディアなのかも」ということ。社内では同僚の意外な一面を発見したり、会社全体の雰囲気が良くなったり。社外からも「一緒に参加したくなった」「いい取り組みですね」という声が届き、新卒採用では「ポッドキャストを聞いて、この会社で働きたいと思いました」という人も現れました。
■コンテンツマーケティング担当者が学ぶべきポイント!
「文字よりも、声の方が人柄が伝わりやすいかも」ということでした。映像作品を紹介する時も、どうしても書く人の主観が入ってしまいがち。でも音声なら、「本人の声で、作品の雰囲気やその人らしさまで、そのまま届けることができそう」——こんな発見は、どんな業界の広報の方にも、何かしらヒントになるのではないでしょうか。
4年続けられた秘訣は「頑張りすぎないこと」
いろいろな課題はありました。それでも4年続けられた一番の理由は、「あまり頑張りすぎないこと」だったそうです。
「結局、雑談なんです。少し荒削りでも、その人らしさや熱意は十分伝わります。
完璧を目指して続けられなくなるより、まず続けることの方が大切かも」
映像のプロだからこそ「もっとこうしたい」という気持ちが出てきがちですが、そこをぐっと抑えて「今日はここまで」と割り切る。
この絶妙なバランスが、長く続けられる秘訣なのかもしれませんね。
また本編動画の中では、具体的にこれから起業ポッドキャストを始めるにあたって必要な機材や、編集のノウハウ、企画の立て方なども包み隠さずお話いただいています。ぜひ実際の経験者の生の声に学んでください。
■このセッションのポイント
「ケイシャのしゃべり場」さんから、こんなヒントがもらえそうです。
・音声で人柄や想いを伝える、ちょっとしたコツ
・社内のコミュニケーションを自然に活発にする方法
・企画、収録、編集、公開において具体的な準備するものと進め方
・「広く浅く」じゃない、「深く狭く」届くブランディングのアイデア
ぜひCMD2025で、
皆さんの広報活動の新しいヒントを見つけてみませんか?
登壇者のコメント
今回お話しする機会をいただいて、改めて音声の持つ可能性を感じています。映像制作会社なのに音声を選んだことで、今まで伝えきれなかった「会社の空気感」や「人の温かさ」を届けることができているような気がします。
特に嬉しいのは、運営している私たち自身が一番楽しんでいることです。自分の話し方を客観的に聞く機会ができたり、同僚の意外な一面を知れたり、思いがけない反響をいただいたり——すべてが続けるモチベーションになっています。
企業ポッドキャストって、スマホ1台があれば今日からでも始められます。一番大切なのは、会社の「らしさ」を声で伝えたいという、ちょっとした想いだけです。皆さんの会社にも、きっとお話ししたい「声」があると思います。もしよろしければ、気軽な気持ちで一歩踏み出してみてください。