コンテンツマーケティング・アカデミーのスタッフ3名が、マーケティングやコンテンツにまつわるテーマについて、気ままにフリートークします。
「AIを使えば効率が上がる」「AIに対応しないと取り残される」——そう言われて導入したものの、本当に成果が出ているのかわからない。そんなモヤモヤを抱えていませんか?
最新の調査データをもとに、AI活用の「測れない問題」について語り合いました。
参加者プロフィール
村上健太
コンテンツマーケティングアカデミー、チーフストラテジスト。
企業のコンテンツ戦略立案に携わり、最新のAI技術動向をウォッチしている。
髙山はるみ
コンテンツマーケティング、リサーチャー。
長年企業ウェブサイトの制作に携わり、検索技術の変化を現場で実感している。
今井静香
コンテンツマーケティング、リサーチャー。
生成AIの活用に関心が高く、新しい情報検索の可能性を探求中。
#1 AIエージェントの時代がやってきた
村上:今年1年のマーケティングを振り返るのにぴったりな資料をご紹介したいと思います。Martech for 2026というマーケティングテクノロジーのイベントと同時に発表された調査レポートです。
Our big Martech for 2026 report is almost here — be the first to get it for the ground truth of martech AI
127ページにも及ぶこのレポートには、2025年の最新のマーケティングの現場の調査や、テクノロジーの利用動向などがわかりやすくまとめられています。
個人的に記憶に残ったのは、AIエージェントの進化と活用の広がりについて。AIエージェントは、生成AIの技術を用いて、人間の代わりに様々なタスクを実行してくれるんですね。マーケティング戦略の立案から、コンテンツ制作、リサーチ業務など、マーケティング業務のさまざまな領域で使われはじめています。もはや「マーケターの仕事は、AIエージェントなしには考えられない」というところの一歩手前まで来ているのだなと感じました。
このレポートによると、マーケターが使うAIエージェントで最も多いのは「コンテンツ制作」で、なんと約7割。AIと一緒にコンテンツを企画制作するのが、海外ではもうスタンダードになってきているんですね。
今井:7割ってすごいですね。私たちも日常的に使っていますけど、そこまで広がっているとは。
村上:またイベントの中では、マーケティングテクノロジーの専門家による提言や未来予測も数多くありました。例えば先ほどのAIエージェントについていえば、最初は「タスクエージェント」といって、チャットの履歴やメールの要約など最終成果物ではない途中段階の部分的なタスクに絞ってAIに任せることから始めるのが良いということでした。次には「ディシジョンエージェント」で、データ分析・分類を元に次に何をすればいいのかをAIに判断させる段階。そしてさらに進むと、AIが戦略立案⇒計画⇒実行までのすべてのプロセスを自動化する「オーケストレーターエージェント」の段階にまで進むだろう、とのことでした。
高山:なるほど。今みんながどのあたりにいるのか気になりますね。
今井:タスクエージェントの段階は、もうみんなやってそうな気がします。議事録作成とか、文章の要約とか。
村上:ただ課題もあって、AI活用の「成果」を測るのがまだ難しいんです。AI向けのコンテンツを用意している企業は6割以上あるのに、それでどれだけ成果が出たかを調査しているのは13%程度。みんな「きっと良いだろう」と信じて、とりあえず先に進んでいる段階なんですよね。

#2 現場で感じる「測りづらさ」の正体
高山:実は私も、成果を測るのが難しいなと日々感じているところがあるんです。
村上:おお、具体的にはどんな場面で?
高山:例えば、SNSの投稿文書を生成AIに考えてもらったとき、確かに人間がゼロからやるよりも早くできるので、業務効率化にはなっていると思います。ただ、そのAIが考えた投稿によって「アクセス増などのビジネス成果につながったのか」と聞かれると難しいです。AIを使っている時と使っていない時で、投稿内容以外の条件がいろいろ異なるので、単純に比較ができないです…。
村上:まさにそこなんですよね。実際のビジネス成果って、様々な要因が影響しているので、単純にAIがある時と無い時で比較できない。しかもAIって人間と同じように、いい回答の時もあれば悪い回答の時もあってブレがあるんですよね。「AI活用は業務効率化しかない!」と狭い範囲にとどめておくのももったい気がするけど、「AIを導入すればビジネス成果が爆増する!」と断言できるほどの根拠も実感も無いのかなと思いますね。
高山:自分がやったことに対しての成果が、もう少し見えやすいといいのですが...。
#3 「信じてやるしかない」という現実
村上:結局のところ、ある程度は手探りで「信じてやっていくしかない」というのが現状なのかもしれませんね。
高山:まさにその通りだと思います。「きっと良いだろう」という気持ちで進めるしかない。
今井:みんな同じような気持ちなんでしょうか。
村上:そうだと思いますよ。ただ、「やらないことで取り残されるんじゃないか」という不安もある。AIを活用している企業とそうでない企業で、どんどん差がついていくんじゃないかって。
今井:確かに。私ももう、AIなしでは仕事ができないかもしれないです。
村上:静香さんはもう完全にAIと一緒に仕事してますもんね。さっきの分類でいうと、「タスクエージェント」の次の段階の「ディシジョンエージェント」に進んでいくのだと思います。これから仕事の中で人間の代わりに、AIに判断してもらうことも増えていくかもしれません。
#4 過渡期だからこそ、手探りで進む
今井:成果が測れないまま、AIエージェントにどんどん仕事を任せていくのってちょっと不安ではありますよね。
村上:今はまさに過渡期なんだと思います。AIエージェントの活用方法も、成果の測り方も、まだ誰も正解を持っていない。だからこそ、試行錯誤しながら自分たちなりのやり方を見つけていくしかない。
高山:来年はもう少し、成果が見えやすくなるといいですね。
村上:そうですね。あとは、AIを前提としたワークフローというか、仕事の進め方全体を見直していく必要があるのかもしれません。従来の「人間がやること」「機械がやること」という分け方じゃなくて、AIと人間がどう協働するかという視点で。
高山:このAIでここまでやって、次の作業は別のAIにやらせる、みたいな使い分けも今年できるようになりました。来年はもっとスムーズに連携できるようになるといいですね。
今井:「きっと良いだろう」で始めて、やりながら調整していく。それが今の正解なのかもしれないですね。

まとめ
AI活用が広がる一方で、その成果をどう測るかは大きな課題として残っています。海外ではコンテンツ制作の7割がAIを活用している。しかし効果測定をしているのは13%程度。「時間短縮」は実感できても、「収益への貢献」は測りにくい——それが多くの現場の本音ではないでしょうか。
AI活用の段階は、部分的に任せる「タスクエージェント」から、コンテンツを書かせる「ディシジョンエージェント」、そして戦略立案⇒計画⇒実行までのすべてのプロセスをAIで自動化する「オーケストレーターエージェント」へと進んでいきます。多くの人がまだ初期段階にいる中、先に進んでいる人との差は広がっていくかもしれません。
だからといって、立ち止まるわけにもいきません。今はまさに過渡期。正解がない中で、「きっと良いだろう」と信じて手探りで進むしかありませんが、そこで得た知識や経験は貴重な資産になっていくでしょう。2026年はますます変化の激しい年になっていきそうです。
執筆・編集:Content Marketing Academy