「CONTENT MATKETING DAY 2021」開催レポート vol.1
本ラボの運営元である、Content Marketing Academyが主催し、2021年12月15日~17日に開催された、オンラインマーケティングイベント「CONTENT MATKETING DAY 2021」のイベントレポート 第一弾です。
2021年12月15日(水)~17日(金)にかけて開催された「CONTENT MATKETING DAY 2021(以下、CM-Day2021)」。コンテンツマーケティングを実践して成果を出すために必要な、コンテンツ・マーケティング・テクノロジーの3つの領域から各分野のスペシャリストが登壇。
「明日から使えるノウハウ」をDXの実践者が最新事例を交えながら、様々な切り口でお話ししてくださいました。セッション数は40件超えと過去最大。参加されたみなさんはどのくらいご覧になりましたか。
本稿では「顧客に見つけてもらうために取り組みたいコンテンツマーケティング」をテーマに、CM-Day2021を振り返ります。
ゼロからはじめないコンテンツマーケティングの衝撃
「コンテンツマーケティングには時間がかかる」は定説ですが、それを逆手に取った手法をお話しされたのが、伊東周晃 氏(株式会社JADE 代表取締役)です。
飲食店を例に、ゼロから始めた店舗とゼロから始めなかった店舗の事例を比較しながら紹介。ゼロから始めないポイントは、開店前からファンを作るための取り組み。開店前は“買えない”わけですが、逆にそこを利用して未来の顧客とエンゲージメントする仕組みを作っていたというお話です。
- クラウドファウンディングで開店資金を募る
- Googleビジネスプロフィールに登録
- 地元メディアに取材されるための取り組み
クラウドファウンディングで参加意識をもつファンを作ることで、最初のお客様がその中から生まれます。そのお客様が来店後GoogleにレビューをつけてくれるとGoogleの評価が上がり、お店のWebページにもSEO的好影響をもたらすような好循環が生まれやすくなります。その間、地元メディアに取材を働きかけ、掲載された記事がオンラインに公開されると、店名の検索結果には自社サイト以外の記事も表示されることに。
つまり、店舗の開店前からコンテンツを通じて外部メディアやオーディエンスと関係性を作り、信頼してもらうための取り組みを続ける。続けることで関係性の価値が上がっていくため、ゼロからはじめないコンテンツマーケティングになるというわけです。
Giveに徹する企業のための戦略設計のノウハウ
企業がユーザーに対してGiveに徹することで、コンテンツマーケティングによる見込み客の集客を実現するノウハウを解説されたのは、「CONTENT MARKETING LAB」の元編集長でもある三友直樹 氏(ENECHANGE株式会社エネチェンジ事業部)。
専門性を反映したオウンドメディアの海外事例を挙げつつ、自社で行っているコンテンツマーケティング施策を紹介。
施策のポイントは2つ。新規顧客を獲得するために①既存顧客のインサイトを把握し、②既存顧客と同じ課題や特徴をもつ見込み客を集めるため、情報発信すること。三友さんは自社の専門性を反映しながら、顧客に「Give」できる情報発信を行った結果、新たな見込み客の獲得に成功。そのインサイトも分析し、現顧客との差異を見ることで仮説が正しかったことを確認できたそう。
自社の専門性はわかっていても、顧客の課題に対するフォーカスがいまいち合わない場合や、コンテンツの立案に悩む場合、こういったやり方でアプローチできることがわかる、学びの多い事例が詰まっていました。
“採りたい人物”を採用し、社内も活性化できるHRコンテンツの作り方
自社の採用事例をもとに、惜しみなく採用コンテンツ作りのノウハウをお話ししてくださったのは、吉田大輔 氏(SGグループ株式会社 経営管理本部付 グループ人事管掌)。
- いい人を採用する
- いい会社を作る
- 中の人も良くする
この3点に絞って推進した事例を解説されているのですが、実にロジカルでわかりやすい。企業の成長ステージに合わせたコンテンツ設計の方法、社内を人と事業の課題にそれぞれ分け、時間軸をかけたマトリックスを使って整理する方法など。
加えて、どうコンテンツを設計し、どう社外に情報発信し、どう社内に浸透させたか。それらはバラバラに運営されがちですが、吉田さんは、ひとつのサイクルとして循環するよう設計されていました。
採用コンテンツづくりに指針がほしい方必見の、アイディアとこれから使いたい“フォーマット”が凝縮されていました。また、コンテンツ×採用活動に関するDXの事例が聞けたのも、CM-Day2021ならでは、です。
コロナ禍でコピーライティングはどう変わった?
コピー書くとき、今はどんなポイントを押さえたらいいかを読み解いたのは、近藤智子 氏(フリーランスコピーライター)。今回のテーマはふたつ。
- 海外コピーライターの指摘から考える“ここが大事”これからのコピーライティング
- コロナ禍の注目施策から学ぶコンテンツ体験とコミュニケーション
コロナ禍を経て、消費スタイルにも変化が起こり、コピーライティングにも余波が訪れています。カナダのトロント大学で教鞭を取る現役コピーライターの記事を挙げ、現在のコピーライティングに必要なポイントを紹介。
- ペルソナを更新しよう
- より会話調にしよう
- 事実と詳細をより重視しよう
- ベネフィットと成果に徹底的にこだわろう
- 読んでトクするコピーを書こう
限られた条件下で、同じコンテンツや情報を読んでも伝わり方が違うことを、コロナ禍で私たちは体験してきました。加えて、景品表示法や薬機法などによる表現ルールの厳格化、データや情報を発信する際、裏付けのないベネフィットは言えなくなったこともあり、より確かな表現が求められています。
“同じビールであっても、夏の青空の下ビーチで飲むビールと、散らかった部屋で飲むビールの美味しさはまるで違ったものになります。これと同じように、同じコンテンツであっても提供の仕方次第でその効果が大きく変わります”
――『DX時代のコンテンツマーケティング』より
背景にあるのは、「コンテンツエクスペリエンス」です。コンテンツそのものの質が大切なのは当然ですが、コンテンツを届ける手法と提供するユーザー体験がこれまで以上に重要度を増しました。
コロナ禍でコピーライティングを考える際、劇的なライティングメソッドが生まれたとか、効果的な型が生まれたとは言えないそう。ですが、相手との信頼関係を築くため、より確かで具体的な情報を届け、言葉を尽くしてコミュニケーションしていくことが、今まで以上に求められているのは確かなようです。
やるなら今! 動画内製化の仕組みづくりとフローをプロに聞く!
「そろそろ動画を始めないと…」「社内で動画を作るにはどうすれば…」とお悩みの方にお答えするのは、田中玲子 氏(アドビ株式会社 マーケティングマネージャー)です。
動画に取り組む際、まず悩みどころになるのが外注か内製かの選択です。本セッションのテーマは「動画内製化」。どうすれば自社でできるかを、Adobe社開催の動画内製化セミナーで実際によくある質問を中心に解説してくださいました。
たとえばこんな質問です。
- 動画内製化のやり方、ワークフローがわかりません
- 人材を確保できません
- 字幕を入れたほうがいいですか?
- 動画のクオリティが心配です
動画に取り組もうと思うと必ずぶつかる課題です。最も問題になるのは、内製化のやり方とワークフローです。セッションでは、「商品紹介動画を制作したい場合」を例にフローを分解。
【フロー】企画書作成→コンテ作成→撮影→編集
まず、どういう動画を作りたいか、何を伝えたいかをまとめ、紹介したい商品の特徴、伝える目的を明確にして企画書を作ります。次にラフを描き、どういう流れの動画にするかを決定し、撮影。撮り終えたら、編集して仕上げます。
流れだけ書き出すと簡単に見えますが、この撮影・編集の過程でも悩みどころが多いのが、動画です。セッションで行われた実際の動画編集画面を見ながらの解説は、初めて挑戦する方にとって、一連の流れや作業のイメージがしやすく、今後を考えるいいきっかけになったのではないでしょうか。
特に心強かったのは、企画書を作ってどんな映像にしたいかを事前に決めておくことが重要という考え方です。「動画の撮影・編集スキルも大事ですが、企画軸をしっかり決めるられれば、ある程度のスキル不足はカバーできると思います」との田中さんのコメントにホッとした方もいらしたのでは。
プロが提案する動画内製化の流れを見て改めて感じるのは、100%すぐに内製化に切り替えるのではなく、できるところから進めながら100%を目指していくことが大事という点。ひとつずつ、まずはやってみることがカギと言えそうです。
まとめ
「顧客に見つけてもらうために取り組みたいコンテンツマーケティング」をテーマに、CM-Day2021を振り返ってきましたが、いかがでしたか。
コンテンツマーケティングの手法は、技術の進歩により大きく進化しますが、世の中の流れや空気感を敏感にくみ取って変化します。本稿では、なかでも企業とユーザーとのコミュニケーション方法、人との距離感、人そのものに注目しているセッションをご紹介しました。次のレポートでは、「潜在顧客の顧客化(ナーチャリング)」をテーマにお届けします。
執筆:川俣 沙織
株式会社Rdesign factory(アール・デザイン・ファクトリー)代表取締役
出版業界で実用書・タレント本・インタビュー雑誌などの編集者として働いた後、WEBディレクターへ転身。2020年にデジタルマーケティングプロデューサーとして独立。
出版社における雑誌のWEBメディア・EC・CRM・システム構築のほか、他社メディア受託制作等を経験。コンテンツマーケティングを軸に、事業に最適化したコンテンツ制作のほか、メディアのブランディングや全体のグロース設計や戦略設計、運用オペレーションの設計や再構築を得意とする。
「必要な情報が、必要な人に、必要なタイミングで伝わる」メディアづくりが信条。
関連リンク:Content Marketing Academyによるセッション紹介記事(note記事)
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