AIで過去のコンテンツに新たな命を吹き込む方法1:名曲リミックスのように
エンジニアならではの視点で、海外のコンテンツマーケティングの世界に斬り込み、毎回新たな発見を共有していく「元エンジニアから見たコンテンツマーケティング」シリーズ。今回は生成AIを活用して既存コンテンツを新しい形にリミックスする方法について取り上げます。
コンテンツマーケティングにおいて、常に新しい視点や価値を提供し続けることは、時間と労力を要する大変な作業です。しかし、効率的にコンテンツを作成するための有力な手法として「リミックス」があります。
これは、既存のコンテンツを巧みに再利用し、新たな形に生まれ変わらせることで、限られたリソースを最大限に活用する手法です。生成AIの力を借りることで、過去のコンテンツに新しい命を吹き込み、異なる読者層にアプローチすることが可能になります。
今回は、Lieu Pham氏が提案する4つの「コンテンツリミックス」の手法に焦点を当て、それぞれの手順を試しながら詳しく解説します。これらの手法を取り入れることで、コンテンツ戦略をより効率的かつ効果的に進化させることができるでしょう。
今回参考にした記事:
How To Turn Old Content Into a New Work of Art With an AI Assist
リミックス手法1:ブログ記事を統合してホワイトペーパーに変える
この記事で紹介されているリミックスの1つ目は、複数のブログ記事を統合し、生成AIを活用して一貫した流れのあるホワイトペーパーを作成する方法です。この手法では、特定のテーマに沿った記事を集め、それらを一つのストーリーとしてまとめながら、主要な概念を掘り下げ、オリジナルのコンテンツやケーススタディ、専門家の見解を織り交ぜて、包括的で魅力的な資料に仕上げます。
このリミックスの方法は、いわば「ベストアルバム」のように、既存のブログ記事を再編集し、ホワイトペーパーとして新たな形に変えることを意味します。個々の記事を一つのストーリーに統合し、生成AIの力を借りてスムーズな流れを作り出し、関連するトピックや原則をさらに深掘りすることで、ブログ記事をより強力なコンテンツへと再構成します。
実際に、この記事で紹介されているプロンプトを使用し、私たちの「コンテンツマーケティング入門編」を素材として実験してみました。2段階のステップでホワイトペーパーを作っていきます。
ステップ1のプロンプト:
コンテンツストラテジストとしてあなたの目標は、複数のブログ記事を統合して一貫したホワイトペーパーを作成することです。ターゲットはコンテンツマーケターであり、AIを活用してアイデアや発見をシームレスにつなぎ、読者が発見と洞察の明確な旅を進むことができる物語の流れを作ることが課題です。異なるブログ記事を統一されたホワイトペーパーに変換し、読者が魅了される一貫した論理的なストーリーラインを構築するのが目標です。成果物としては、コンテンツマーケティングに焦点を当てたブログ記事に基づくホワイトペーパーのアウトラインが必要です。以下のブログ記事を参照してください。
https://lp.contentmarketinglab.jp/lab/content-marketing
記事で紹介されていた英語のプロンプトを日本語に訳し、下線の箇所を変更しましたが、このプロンプトをChatGPTに入力すると、以下のようなホワイトペーパーのアウトラインが生成されました。
ステップ1の実験結果:生成AIによるホワイトペーパーのアウトライン作成
ホワイトペーパーアウトライン:「コンテンツマーケティングの未来を見据えて:2024年以降の戦略、トレンド、インサイト」 |
2. はじめに: 進化するコンテンツマーケティングの風景 3. データ駆動型コンテンツマーケティングの力 4. 2024年のコンテンツマーケティングの新たなトレンド 5. コンテンツ配信戦略 6. 統一されたコンテンツ戦略の構築 ・ビジネス目標とコンテンツの整合性: コンテンツマーケティングの取り組みをビジネスの全体的な目標と一致させる必要 7. コンテンツマーケティングの成功を測る 8. コンテンツマーケティングの未来: 予測と準備 9. 結論 10. 参考文献 |
次に、ステップ2として、各章のドラフト原稿をChatGPTに書いてもらうことにします。Lieu Pham氏はこの手法を「Explore semantic expansion(意味拡張)」と呼んでいます。
ホワイトペーパーのアウトラインとして書き出された、第4章の「2024年のコンテンツマーケティングの新たなトレンド」を実験素材にして意味拡張を行います。プロンプトは以下のようになりますが、これも記事で紹介されている英語のプロンプトを日本語に訳し、下線部を実験のテーマに沿うように変更しています。
ステップ2のプロンプト:
第4章に対して包括的かつセマンティックな拡充を行ってください。テーマは「2024年のコンテンツマーケティングの新たなトレンド」です。特に、インタラクティブおよびビジュアルコンテンツの自動生成におけるAIの役割と、新しいアプローチがもたらす影響の分析に焦点を当ててください。これらの新しいコンテンツ作成のトレンドを採用する際に、企業が直面する複雑な課題と機会についても言及し、作成されるコンテンツの整合性、独自性、正確性を維持する重要性についても探求してください。
この探究は、AIツールを活用してコンテンツ作成を行う様々な業界のコンテンツクリエイターに響くようにしてください。当社がインタラクティブおよびビジュアルコンテンツ作成のエキスパートとして、業界における権威と関連性を持ちながら、コンテンツの整合性と正確性を確保することに力を入れている点を強調してください。
上記のプロンプトを実行すると、「2024年のコンテンツマーケティングの新たなトレンド」の章で語るべき内容について、以下のようなドラフト原稿が生成されました。
ステップ2の実験結果:第4章のドラフト原稿
第4章: 2024年のコンテンツマーケティングにおける新たなトレンド AIと自動化の役割 2024年に向けて、AIはコンテンツマーケティングにおいて重要な役割を果たしています。特に、インタラクティブおよびビジュアルコンテンツの作成の自動化において、その影響は顕著です。 AIツールは、高品質なビジュアル、動画、クイズやインフォグラフィックといったインタラクティブ要素を大規模に生成できるため、現代のコンテンツ戦略に不可欠なものとなっています。これにより、コンテンツ制作者は、より魅力的でパーソナライズされたコンテンツを提供できるようになり、視覚的に豊かなメディアへの需要に応えることが可能です。しかし、この自動化には、生成されたコンテンツの整合性、独自性、正確性を維持するという課題も伴います。 AI駆動のコンテンツ作成における課題 AIをコンテンツ作成に採用する際の主な課題の一つは、コンテンツの真実性と独自性を維持することです。AIツールは強力であるものの、細やかな創造性や人間らしい感覚を欠いたコンテンツを生成することがあります。そのため、コンテンツがブランドの独自の声やアイデンティティを損なうリスクが生じる可能性があります。 また、AI生成コンテンツの正確性も重要な課題です。AIモデルは大量のデータセットに基づいてトレーニングされているため、データセットにバイアスや誤りが含まれている場合、その影響がコンテンツに反映される可能性があります。そのため、コンテンツ制作者はAIが生成したコンテンツを厳密に監視し、事実確認を行い、ブランドの価値観やメッセージと一致していることを確認する必要があります。自動化の時代においてコンテンツの整合性を維持するには、AIの効率性を活用しつつも、厳格な編集基準を維持するバランスが求められます。 インタラクティブおよびビジュアルコンテンツの機会 これらの課題にもかかわらず、より魅力的でインタラクティブなビジュアルコンテンツを作成するための機会は非常に大きいです。AIは、オーディエンスの行動を分析してリアルタイムで動的に適応するコンテンツを作成し、ユーザーのエンゲージメントを高めることができます。クイズ、投票、拡張現実(AR)などのインタラクティブなコンテンツは、個々のユーザーとより深く共感するようにカスタマイズされることが可能です。 企業にとって、これは注目を集めるだけでなく、より深い対話とエンゲージメントを促進するコンテンツを作成する能力を意味します。特にビジュアルコンテンツは、消費者がテキスト中心の形式よりも画像、動画、グラフィックを好む傾向が高まる中で、需要が急増しています。これにより、ブランドが急速に進化するデジタル環境で関連性を維持するために、ビジュアル資産を自動生成および最適化できるAIツールが非常に貴重なものとなっています。 整合性と正確性の維持 コンテンツ制作者としての私たちの責任は、人間が作成したものであれ、機械が生成したものであれ、コンテンツが最高の整合性を保持することを保証することです。これには、情報源の確認、事実の厳密なチェック、コンテンツが倫理基準に準拠していることの確認が含まれます。AIはリアルタイムの事実確認やコンテンツ分析のツールを提供しますが、コンテンツの正確性と信頼性を保証するためには人間の監視が依然として不可欠です。 結論として、AIはコンテンツ作成を強化する強力なツールを提供しますが、人間のコンテンツ制作者の役割は依然として重要です。インタラクティブおよびビジュアルコンテンツを制作し、オーディエンスに共感しながらも整合性と正確性を確保するという私たちの専門知識は、業界でのリーダーシップを確立しています。これらの新たなトレンドを採用し、関連する課題を乗り越えることで、デジタル時代の要求を満たすだけでなく、オーディエンスが期待する高い水準を保つコンテンツを制作し続けることができます。 |
最終的に人による手直しは必要ですが、ドラフト原稿としては十分なアウトプットではないかと思います。
コンテンツリミックスは単なる効率化の手段ではなく、まるで名作音楽のリミックスのようです。クラシックな楽曲が時代を超えてリミックスされ、何度も新しい形で聴かれるように、過去のコンテンツにも新たな視点を加えることで、繰り返し楽しむ価値が生まれます。
AIを使うことで、これまでのコンテンツに新たな命を吹き込み、読者にとっても新鮮な体験を提供できると感じています。
次回は、記事で紹介されたリミックス2についても実験していきますので、どうぞお楽しみに。
執筆:ウー・ピーター
CONTENT MARKETING ACADEMY リサーチャー
※本記事は執筆及び画像作成にあたり、ChatGPTを利用しています。
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