1回のインタビューで複数のコンテンツを作り分けるには?海外事例にみる実践ノウハウ
コンテンツを効率良く作ることで、オウンドメディアの更新頻度を一定に保つ。しかも闇雲にコンテンツを増やすのではなく、成果の出る種別を見極める。そのためのノウハウを紹介する。
コンテンツマーケティングを実践する上で難しい点の一つが、継続的にコンテンツを発信していくことだ。これができずに更新が止まり、施策がとん挫してしまう例は多い。
必要な更新頻度は、施策の目標や伝える内容、ペルソナなどによって異なるため、高ければ高いほど良いというわけではない。しかし限られたリソースで更新頻度を一定に保つ工夫が求められるケースは多いだろう。
効率的にコンテンツを作るための工夫はいくつかあるが、今回は1回のインタビューで得られた情報をもとに、複数のコンテンツを作成していく考え方を紹介する。
インタビューコンテンツの効率的な作り方
インタビュー記事というのは、独自の情報を得られやすいという利点があるものの、作るのに手間暇がかかるコンテンツだ。インタビュー相手の選定や質問項目の作成、実際のインタビューなど、原稿執筆以外の作業が多い。
こうして時間をかけて得られた貴重な情報を1本の記事で終わらせてはもったいない。工夫次第で複数の記事に落とし込むこともできる。
一つ例を紹介しよう。
米ノースカロライナ州にWake Forest Innovationsという生物医学関連の企業がある。ワクチンや医療機器の開発、関連技術のライセンシングビジネスなどを手掛けている会社だ。
同社は医療関連企業からのブランド認知獲得や販売増に向けて、コンテンツマーケティングを実施している。ターゲットごとにメディアを細かく分けた結果、運営するサイトの数は5つにも上る。しかもこれらをたった4人で運営しているのだ。
少ない人数で数多くのコンテンツを更新する彼らによる工夫。その一つが、1回のインタビューによって複数のコンテンツを作り分けている点だ。
例えば社内にいる専門家へのインタビューによってコンテンツを作り、自社メディアで公開するとする。同社のコンテンツマーケティングチームを率いるVishal Khanna氏によると、90分間のインタビューによって、次のように複数のコンテンツを作り上げるという。
- 専門家による研究内容に関する長文記事3本。LinkedInといったソーシャルメディアにアップすることで集客するための記事や、社内での研究認知向上といった異なる目的に使う
- 動画コンテンツ。専門家が研究のデモを実践している模様を撮影する
- 研究者のプロフィールや研究内容紹介ページに挿入する顔写真(これはコンテンツではなく単なる素材だが、インタビューの機会に確保できると後々便利だろう)。
- 研究者のプロフィール記事。集客した後の見込み客に対して、同社の強みを伝える役割を果たす。
こちらがWake Forest Innovationsによるインタビューコンテンツの一例だ。同社関連機関の医師へのインタビューをもとに作り分けている。
1回のインタビューで複数のコンテンツを作り分けるには、コンテンツの切り口やストーリーを事前に複数考えておく必要があるとしている。
この工夫を含む施策によって、サイトを経由したリード獲得数が、2014年までの1年間で600%も増加したという。
しかしただ闇雲に多くのコンテンツを作るだけでは、こうした成果にはつながらなかっただろう。施策を率いたVishal氏は、成功の要因についてこう述べている。
「やるべきことを明確にすることで、必要ないことをやらずに済む」。
より効率的にコンテンツを発信するための工夫だけでなく、必要最小限のコンテンツを見極める戦略性も重要ということだ。ポイントは、見込み客が購買に至るまでの動きを示したカスタマージャーニーを把握した上で、コンテンツの戦略を立てることだという。
ちなみにコンテンツマーケティングラボでは、カスタマージャーニーマップの実践的な活用方法をお伝えするワークショップを実施中。参加者向けにオーダーメイド型のワークショップを行っている。
詳細ページはこちら。
インタビューコンテンツを作るというと、敷居が高く感じられるかもしれない。確かに作業の手間は比較的かかる。ただインタビュー対象を外部の専門家などに限らず、社内の人材にも広げることで、やりやすくなるのではないだろうか。今回紹介したWake Forest Innovationsも、インタビュー相手として社内の研究者を選んでいた。
また1回のインタビューから複数のコンテンツを作ることができるとはいえ、闇雲に多く作るだけでは意味がない。集客用や回遊用、コンバージョン用など、事前に役割を決めた上で作り分けられると効果的だろう。役割の異なるコンテンツを組み合わせてマーケティングゴールを達成するためのノウハウは、以下の記事で紹介している。ぜひ参考にしてほしい。
執筆:三友直樹(日本SPセンター)
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