「コンテンツキュレーション」で成功するために必要な4つのポイント
多様なメディアでコンテンツが増え続ける中、海外では「キュレーション」と呼ばれる、第三者のコンテンツを収集してまとめる手法が注目されている。ただの“寄せ集め”ではなく、価値あるコンテンツを提供するために必要な4つのテクニックを学ぶ。
コンテンツキュレーションとは、「独自の考えを加え、発信すること」。
あまりにも多くのコンテンツがメディアにあふれている今日、コンテンツをターゲットの目により留まりやすくするためには、常に新鮮なコンテンツを発信する必要がある。しかし、新たなコンテンツを生み出し続けるためには、企業にとって大きな労力とコストが必要とされることも事実だ。そういった状況下で、新たな戦略としてマーケターの注目を集め始めているのが、「コンテンツキュレーション」という手法だ。
「コンテンツキュレーション」とは、第三者のコンテンツを収集し、独自の視点を加えて編集することである。注意したいのは、ただ単にコンテンツを紹介するものではないという点だ。つまり、特定のトピックが世間にどのように評価されているかを客観的に“分析”した上で、そのトピックに興味のあるターゲットに対して、企業の考え方を“追加”し、発信する手法のことだと言えるだろう。
『Managing Content Marketing』の著者でもあるRobert Rose氏によると、収集したコンテンツをどのように活用するかによって、現在企業が取り組んでいるコンテンツキュレーションの種類は下記の4つのタイプに分類されるという。
- コンテンツを単に羅列したもの。(企業の考え方を加えるもの・加えないものを問わず)
- コンテンツはあくまで情報源として捉え、企業の考え方を伝えることに力を入れているもの。
- 特定のイベントやニュースについて、消費者が発信するコンテンツ(SNSやブログなど)を収集し、ターゲットを惹きつけるコミュニティを形成するもの。
- 旬の話題に関する報道内容をリアルタイムにまとめたもの。
上記の(1)~(4)を見てみると、後者ほど時事性やネタの鮮度に対する要望は高くなると同時に求められるコンテンツ量は少なくなる。逆に前者はタイムリーであることを求められない分、継続的に長く活用していける一定量のコンテンツを蓄積していくことが必要となることがわかる。
マーケターが押さえておきたい、コンテンツキュレーションの4つのテクニックとは?
では、コンテンツキュレーションを行う際にどういった点を押さえておくべきなのだろうか?記事の中では、具体的なメソッドとして、4点が挙げられている。これらは、著者がアメリカの上位1000社のうち70社以上の企業に対して行ったコンテンツマーケティングのコンサルティング結果から導き出されたものだ。マーケティング戦略の中でコンテンツキュレーションをうまく活用している企業は、最低1つの項目を実践しているという。ぜひ参考にしてみてほしい。
1.社内外で日々生まれるコンテンツをしっかり把握し、管理しよう。
よりよいコンテンツキュレーションに求められるのは、コンテンツの「量」と「質」の両立だ。しかし目の肥えたターゲットに対して、新鮮で有益な第三者コンテンツを探し出して提供し続けるのは、どんなマーケターにとっても大変な仕事になるだろう。また、企業によっては第三者コンテンツだけでなく、社内コンテンツをもキュレーションする必要がある。コンテンツの配信先となるメディアの数が増えている状況を考慮すると、マーケターに求められるタスクは増える一方だ。
マーケターが社内外のコンテンツを把握・管理するためにぜひ活用したいのが、複数のウェブコンテンツを一元的に管理できるシステム(WCMS)などだ。新しく生まれるコンテンツをリアルタイムに取得できる機能を活用すれば、コンテンツ収集の労力はかなり軽減されるだろう。
2.より素早く、よりタイムリーに、世の中の動きを把握しよう。
顧客とリアルタイムにコミュニケーションを進めるためにも、自社を取り巻く業界の情報収集できるツールを活用すること。コンテンツキュレーションを成功に導くためには、業界のトレンドや話題性の高い情報をいち早く知っておくことが非常に重要なのだ。さらにソーシャルメディアに飛び交っている情報を効率的に収集できるツールなどを活用し、素早く変わり続ける世の中の動きに、歩調を合わせられるようにしておくべきだ。
3.収集したコンテンツ群に、独自の視点と考えを加えよう。
キュレーションを効果的なものにするには、第三者による情報を集めるだけでなく独自の視点や考えを付け加えることも必要だ。例えば、いくつかのコンテンツを一つのテーマでまとめたい場合などは、自社の考えを短いフレーズで加えることで、全体の流れが理解しやすいように編集できるだろう。あるいは、収集したコンテンツ群を一つの“スペシャルコンテンツ”として提供したり、マイクロサイトとしてまとめたりすることで、自社の視点をプラスすることも有効だ。
4.ターゲットオーディエンスとのエンゲージメントを図る仕組みを考えよう。
ユーザーは、自身の抱える課題を解決するためにたくさんのコンテンツをリサーチしている。そういった点を考慮すると、ユーザー自身にキュレーターとして活躍してもらう方法を考えるのも有効だ。つまり、ユーザー自身にキュレーターになる“権限”と“見返り”の両方を与え、エンゲージメントを強化していくアプローチだ。
例えば、特定のトピックに対してターゲットもキュレーションに参加できる場所を設け、彼ら自身の問題解決につながるようなプラットフォームを提供するのも一つの手だろう。これによってターゲットユーザーとの関係を強めることができるのだ。ブランドの世界観を共有し、ターゲットとコミュニケーションを図るための“場づくり”にもコンテンツキュレーションは適しているのだ。
誰もがメディアになりコンテンツを発信できる今日、抜きん出たオリジナルコンテンツを“創る”ことばかりに固執することは、リソースを無駄遣いすることにもなりかねない。第三者のコンテンツを収集し、それらを企業が発信したいメッセージに合わせて編集し、独自の考え方を発信する手法「コンテンツキュレーション」によって、さらなる価値を生み出すことが、今後のコンテンツマーケティングで重要になっていくに違いない。
執筆:隠岐由起子
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