CMI Express Vol.002(AUGUST 2012)
コンテンツマーケティング協会(CMI)のWebサイトには、日々マーケティング業界のエキスパート達から記事が寄稿されています。これらの記事の中から比較的SNSで高反響だったもの8月の記事をピックアップ。いま、欧米で熱く議論されているトピックを紹介します。
8月のトピック
ビジネスに強いコンテンツをつくるには:実践編
ウェブサイトでコンテンツを発信する際、満足させなければならないのは3者――つまり、「サイト訪問者」「サーチエンジン」「自身のビジネス」である。このため、読者を惹きつける魅力ある内容、検索されやすい構造、Call To Actionの仕掛け、この3つがポイントとなる。しかし、すべてを満たすのは難しいと感じる読者も多いのではないだろうか。また、何から始めたらよいのか途方に暮れる読者もいるかもしれない。この記事は、そのような読者にぜひ読んでほしい内容となっている。つまり、どのようなプロセスで制作していくべきかをわかりやすくまとめた実践ノートとなっているのだ。
STEP1:リサーチ&プランニング
●コンテンツ制作は、構造を考えてから始めること。
このページの目的は何なのか、どのようなキーワードでそのページにたどり着くことを想定しているのか、ページのゴールを何に設定するのか。まずは、それらを事前に考え、コンテンツの骨組みとなる構成を決めること。コンテンツ制作プロセスの大半をリサーチ&プランニングが占めていると言われるほど、この作業は非常に重要なものとなる。
第一にサーチエンジンでの検索を想定した「キーワード」の策定。そのためには、「ページの目的を明確にし(ニーズ掘り起しのページか購入のページかなど)」、「取り扱う製品・サービスが目指すビジネス像を理解し」、「競合他社が使っているキーワードを分析する」ことにおいて、綿密なリサーチをすること。加えてCMIの記事ではフリーのキーワード検索ツールの活用も提案されている。よりニーズの高いキーワードを知ることで、コンテンツの魅力を高め、検索されやすいキーワードを策定することができるからだ。
第二に、読者とビジネスをしっかりと理解すること。より質の高いコンテンツを制作するためには、コンテンツマーケターは発信するトピックについてのエキスパートにならなければいけない。ということは、読者が何を知りたいと思っているか、ビジネスが持つソリューションは何かを、広く深く理解しておく必要があるということだ。ときには企業や顧客に実際にインタビューすることも有効だろう。両者を理解した上で、両者を結びつける接点をピックアップしていく。それこそがコンテンツのテーマとなるわけだ。
STEP2:制作
●読者は「人」と「検索エンジン」。どちらにも理解しやすい工夫を。
まずは「人」をターゲットとして想定し、何を・どのように・どのくらいのボリュームで伝えるかを決め、コンテンツを執筆していく。ECサイトなのか、ユーザー啓蒙コンテンツなのかによって異なるが、ある程度の文章量が必要である。しかし、だらだらと長くなればなるほど、記事の持つ引力が弱くなってしまうから、適切な段落分け、見出し、箇条書き、ビジュアルを活用して読みやすい工夫をすることを心がけたい。
次に「検索エンジン」をターゲットとして想定し、出来上がった原稿を最適化していく作業を加える。「人」の目で見るウェブページと、「検索エンジン」が見るウェブページの情報は異なる。そこで、検索エンジンがコンテンツを正しく理解できるように、HTMLコード内に存在するメタタグに前項で策定したキーワードを入れ込んでいく作業が効力を発揮するのだ。ただたくさんのキーワードを乱用するとよいというわけではない。適切な場所に(ページトップにより近い「タイトルタグ」の部分に)、適切なコンテクストで(乱発するのではなく、ページの概要を語る一節として自然に入れ込む)、適切な長さで(検索結果で表示される文字には制限がある)で配置することが求められる。
STEP3:ブラッシュアップ
●コンテンツを強化する、さらなる仕掛けをプラスする。
読者の心に響き、検索エンジンにも理解されやすいコンテンツを制作した後にさらなるステップとして、動画やインフォグラフィック、SNSへのシェアボタンを追加したり、Call To Actionボタンの見直しをすること。多くの読者を魅了し、3者を満足させるページにさらに近づくはずだ。もちろん、新鮮なコンテンツを頻繁にUPし続けること、各ページの効果を測定・分析すること、常に少しずつ改善・調整を加えることで、読者のコンバージョン率をさらに向上させられることは言うまでもない。
この記事の著者は、構造を考えずにつくるコンテンツは、時間とコストの無駄であると主張している。ビジネスと読者の視点をしっかりと意識しながらリサーチし、コンテンツの構造を事前にプランニングしておくことが、ビジネスに強いコンテンツづくりの肝だと、コンテンツマーケターは認識すべきだろう。
魅力的なコンテンツづくりをサポートする「アイデアダッシュボード」とは
読者にとって役立つコンテンツを発信&更新し続けるために、コンテンツマーケターにとって必要な、アイデアの“インプット”。ウェブサイト、ソーシャルメディア、その他のメディアにおいての日々の情報収集で出会う膨大なアイデアは収集するだけでなく、いつでも活用しやすいように分類し、整理し、一覧化しておくことが必要だ。そのために、コンテンツマーケターがぜひ作っておきたいのが「アイデアダッシュボード」である。
すぐれたアイデアダッシュボードの条件として挙げられているのは6つの項目だ。
- 自身が設定したカテゴリとの「関連性」
- 本当に必要な情報だけが要約された「簡潔性」
- 日々のアップデートが簡単にできる「活用しやすさ」
- 関連ある情報にアクセスしやすくする「ビジュアル要素」
- 求めている種類の情報に効率的にアクセスできる「検索性」
- 興味や優先順位に合わせて簡単に変化させられる「柔軟性」
まず手始めに、自分の興味あるカテゴリを3~4つピックアップすること。フォーマットは、情報をわかりやすく一覧化できる「マインドマップ」がもっともおすすめである。マインドマップのソフトウェアを使えば、トピックごとにリンクを貼ったり、グラフィックや覚えておきたいキーワードやフレーズを容易に埋め込んだりすることも可能だ。そしてもっとも大切なのができるだけ手間をかけずに毎日更新することだとCMIのブログでは強調されている。
ダッシュボードを作ることでコンテンツマーケターが得られるものは、いつか役立つアイデアだけではない。参照した記事を細分化し本当に必要な情報だけを簡潔に抜き出す要約力、どういう点で活用できそうかを的確に見抜く分析力、他の投稿に数多く触れることで磨かれる文章力・編集力、それらを同時に磨くことができるのだ。
Publisherとしてチェックしておくべき、13の項目
ソーシャルメディアで発信側と受け手側が密接につながる社会となった今、コンテンツにはこれまで以上により高い品質と説得力が求められるようになった。それは同時に、書き手が“Publisher(出版社)”として、コンテンツ一つひとつの細部にまで目を配り、そのクオリティに責任を持たなければいけない時代になったということでもある。この記事では、コンテンツを発信する上で欠かせない13のチェック項目がまとめられている。
- 各コンテンツが果たすべき「サブゴール」が明確であること。
- 読者のセグメントを理解した上で、訴求ポイントが絞られていること。
- サイト全体で想定した検索ワードリストの中から、2つから3つのキーワードが各アーティクルに埋め込まれていること。
- サイトの各所に、関連ある情報へのリンクが追加されていること。
- 見出しが、引力の強いものであること。
- ブランドがシンボルやイメージとしてではなく、専門家としての思想として行動が表現されていること。
- あなたの執筆する他のコンテンツとの整合性があること。
- オリジナルの写真などのイメージを含んでいること。
- どんなデバイスでも読みやすく表示されること。
- 下品な言葉が使われていないこと。
- 文法・つづりの誤りがないこと。
- Call To Actionの仕組みが必ず入っていること。
- 読者との関係性を築けるアプローチ(問いかけなど)があること。
多忙を極めるコンテンツマーケターにとって、立ち止まって原稿のクオリティをしっかり確認する時間をつくることは難しいことかもしれない。しかし「Publisher」である以上、その一瞬の振り返りがいかに重要なことかは、言うまでもない。
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