売る前の信頼関係構築が成功のカギをにぎる
ターゲットユーザーが膨大な情報量にさらされる今日、企業が発信する「売り込み」のメッセージは浸透しにくくなってきている。しかし、時代は変われども、人の本質は変わらない。ターゲットが“人”である限り有効な、マーケティングアプローチとは?
「売る前の信頼関係」の重要性は50年以上前から変わらない。
1958年のBusiness Weekに掲載された、下記の広告を見てもらいたい。
以下は、この広告で使用されているコピーだ。
“I don’t know who you are.
I don’t know your company.
I don’t know your company’s product.
I don’t know your company stands for.
I don’t know your company’s customers.
I don’t know your company’s record.
I don’t know your company’s reputation.
Now――what was it you wanted to sell me?”
MORAL:Seles start before your salesman calls-with business public publication advertising.
「私は、あなたが誰だか知らない。
私は、あなたの会社のことを知らない。
私は、あなたの会社の製品を知らない。
私は、あなたの会社が何を象徴しているのか知らない。
私は、 あなたの会社の顧客がどういう人なのか知らない。
私は、あなたの会社の実績を知らない。
私は、あなたの会社の評判を知らない。
――ところで、あなたが私に売りたいものとは何でしたっけ?
教訓:セールスは、セールスマンが営業をかける前から始まっている。」
ビジネス誌への広告出稿を促すために作られたこの広告は、「売ろうとする前に、顧客と関係を築いておくことが重要だ」と主張している。売り込む前の関係構築が大切であることは、もちろん今も変わらない。加えて、当時に比べ現代は、消費者がはるかに疑い深くなっているため、50年前のこの主張はさらに輝きを増していると言えるだろう。しかし、現代にはもちろん良い点もある。その課題をクリアするために使える便利なツールが数多く存在することだ。
現代の生活者は、何か情報を聞いたとき、それを疑ってかかることに慣れてしまっている。特に、相手が何かを「売ろう」としている場合には、売ろうとしている行為だけで、とたんに警戒してしまうことも多い。今の時代にあったマーケティングを実現するためには、「売り込む」ことをベースとした考え方を止め、見込み客と「信頼関係を築く」ことから考え始めることが大切だ。真摯に取り組むことで、ビジネスはおのずと成果につながるはずだ。
マーケティング活動の一つひとつは、関係値を築き上げる工程であると言える。その第一ステップとなるのが、どんな人物像がターゲットかを明確にすることだ。将来的にビジネスのメインターゲットとなるような「理想の顧客像」を明確にし、彼らに対して価値あるコンテンツを発信することで、関係を深め、顧客化していくのだ。
あらかじめ信頼関係を築くために今始めるべき、3つの基本メソッド。
信頼関係を築いていくためには何をすれば良いのだろうか。ポイントは、先ほど紹介した広告コピーから導き出された教訓に、「現代のツール」を融合させることである。記事では下記の3つの方法が紹介されている。
1.実績がある企業であることを知ってもらおう。
見込み客とつながるためにソーシャルメディアや自社サイトを活用し、そこで、どのようなことに取り組んでいて、どのような実績があるのかを知ってもらおう。決定権を持つキーマンが、あなたがちゃんとした「経験値のあるプレイヤー」であることを理解すれば、あなたの話に聞く耳を持つようになるはずだ。
2.「自分ゴト」として関心を持たせる、価値あるコンテンツを提供しよう。
素晴らしいコンテンツを発信することで、ターゲットを惹きつけよう。すべてのプロセスにおいて、彼らと同じ目線で考え、興味を惹くコンテンツの制作に徹することを忘れてはいけない。例えば、パンフレットなど従来の「売り込む」ツールを制作する際にも、企業や商品を中心に考えるのではなく、ターゲットの関心事や悩み事を中心に考えてみると良いだろう。
3.各見込み客にあわせたコンテンツマーケティング施策を実施しよう。
特定のキーマンに会いたい場合に効果的なのが、その人物宛てにカスタマイズしたコンテンツマーケティングの施策を用意することだ。例えば、役立つコンテンツをいくつかのテーマで編集し、体裁を整えた手紙やメールで2、3週間おきに送付してみよう。きっと、自分の関心事を理解している、信頼できる存在と思ってもらえるようになるだろう。このような施策を通して関係性を築くことができれば、企業のキーマンなど、決定権を持つ人物との折衝チャンスも生まれるに違いない。
この記事はB to Bを想定したものであるが、B to Cにおいても同じことが言えるのではないだろうか?商品や情報があふれる現代においては、売れる前の信頼関係構築がますます重要になってきている。コンテンツマーケティングをうまく活用すれば、これが可能だ。
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