【レポート】コンテンツマーケティングにおけるSEOの現在地

  • 【レポート】コンテンツマーケティングにおけるSEOの現在地
  • 2019年11月28日に開催された、『CONTENT MARKETING DAY 2019』 のBtoCセッション〜コンテンツマーケティングにおけるSEOの現在地〜より

コンテンツマーケティング業界において定着したSEO。しかし、現在は以前のようなシンプルなテクニックだけではなく、「検索結果」への配慮がより大きく求められるようになりました。業界のスペシャリストである篠原氏に、SEOの現在地とこれからについて語っていただきました。

冒頭、篠原氏は『コンテンツマーケティング=コンテンツSEOではない。SEOはコンテンツマーケティングにおける集客手段の一部でしかない。ここの理解は非常に重要。』という前提からセッションはスタートしました。

株式会社Bake SEO情報サイト「バカに毛が生えたブログ」運営者 篠原誠 氏

ユーザーが欲しい情報を把握すること

まず、篠原氏は、SEOにおいて考えるべきポイントとして、

  1. 入口=検索エンジン→検索結果への配慮
  2. 中身=サイト→コンテンツの整備

の両方を整えることを挙げ、はじめに中身(サイト)の「コンテンツの整備」について説明した。

篠原氏は、「コンテンツの整備」における基本的な考えとして、

  1. 検索意図を把握する
  2. 検索意図の変化を察知する
  3. コンテンツのメンテナンスをする

の3つの重要性を説いた。

1.検索意図を把握する

例えば、[バイト 電話]と検索をしたユーザー側は何を知りたいのか?

  • コールセンターのバイトを探したい
  • バイト応募時の電話対応を知りたい
  • バイト中のお客様からの電話応対を知りたい etc..

そして、実際に検索してみると「応募先への電話のかけ方」が検索順位の上位3つを占めていることがわかる。具体的には、バイトに応募する際の電話のかけ方を知りたい、電話で緊張してしまう、失礼のない電話のかけ方は?というニーズである。

検索意図を把握する際、『検索結果を見ることと、そこからユーザーが欲しい情報に対して的確に他のサイトよりわかりやすく回答することが大事』と篠原氏はポイントをまとめました。

2.検索意図の変化を察知する

次に、篠原氏が過去に作ったコンテンツ、検索キーワード[ゴールデンウィーク 仕事]を事例として紹介した。検索意図としては、「ゴールデンウィークに仕事が休めない」という不満を解消したいのではないか?という意図を定義してコンテンツを作ったところ、実際に上位表示されたという。ところが、ゴールデンウィーク前に検索順位が下がったという。

その原因を調べると、その時期に上位表示されたコンテンツは「ゴールデンウィークの仕事探し」だったという。篠原氏はこの経験から、『時期に応じて検索意図の変化を察知して、検索意図を満たすコンテンツを作ることの重要性を感じた』と説明した。

3.コンテンツのメンテナンスをする

コンテンツをいち早く作って1位をとっても、競合の参入があり翌年は1〜3位をうろうろしている、さらに翌年には5〜7位に下がることはよくあるという。

篠原氏は『コンテンツは作って放置していると情報が古くなるため、コンテンツを競合より良くするために定期的にブラッシュアップすることが大事』とメンテナンスの必要性について説明した。

「検索からページに訪れたユーザーがどうやったら満足できるか?」を第一に考えることが重要と篠原氏は説明。

検索結果のリッチ化が進んでいる

続いて、入口(検索エンジン)の「検索結果への配慮」の話に進んだ。
篠原氏は『テキストコンテンツを作って終わりではない。検索結果が変化しているので、テキストだけ意識すれば良いわけではない。』と説いた。

その上で、2015年と2019年の変化をいくつかの検索結果の事例から紹介した。


[アウトランダー phev 走行距離]
2015年 アウトランダーに関する記事→2019年 Googleが走行距離を一番上位に出している
[福島 観光]
2015年 福島県の観光スポットに関する記事→2019年 Googleが観光地情報を一番上位に出している

これらはGoogle独自のデータで表示されている形式である。「ゼロクリックサーチ」と呼ばれ、現在、サイトに遷移せず検索結果のみで満足するユーザーが増えているという。

その他にも、検索結果の表示変化に関する事例がいくつか紹介された。

例.
[日本酒カクテル]→レシピが表示
[日本の平均睡眠時間]→説明文が表示
[スパークリングワイン 開け方]→写真付き説明文が表示
[スマホケース おしゃれ]→関連商品画像が表示
[魚のさばき方]→動画が表示

篠原氏は、これらの事例から『検索結果のリッチ化が進んでいる』と説明。その上で、『対応できるところと、できないところを分けて考える必要がある』と説明し、対応できる部分として以下の3つを紹介した。

  1. フィーチャードスニペット

    サイトから文章を抜粋し、キーワードに対して答えとなる文章をユーザーにわかりやすくまとめる(「とは」系検索で多い)。

  2. 構造化

    Googleしごと検索、レビュー、FAQ、How-toなどはGoogle Developersを活用して確認することができる。

  3. 画像+動画

    文章を読むよりビジュアルで確認したいであろうキーワードを考察し、実際に自分のサイトで画像や動画をいれることで伸ばせる要素を確認する(Search Consoleの 「画像検索」「動画検索」枠がヒントに)。

企業で対応できない部分は、Googleが独自でデータを引用している、Googleマップに誘導しているものが対象だという。一方、文章を抜粋することや動画を活用することは企業が対応できるという。

コンテンツマーケティングにおけるSEO現在地とは?

篠原氏はここまでの話を「過去→現在」と定義し、一方で「現在→未来」はどうなるか?という問いに対しては、『Googleの使命である「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスして使えるようにすること」(「Google検索の仕組み」より)からすると、確実なことは今よりも人々が情報を探しやすく、アクセスしやすくなる』と考察した。

さらに、「その確実な未来に対してどうすれば良いか?」という問いに対して、良いコンテンツを作ること(探してでも欲しいコンテンツ)と、検索以外の集客も念頭におくこと(SEOは集客手段の一つでしかない)の2つを回答した。

最後に、篠原氏は、Googleが掲げる10の事実にある「ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる」を紹介し、テクニックややり方は様々あるがユーザーファーストで考えることが重要と会場に投げかけてセッションは終了した。

セッション全体を通して、

  1. まずトライしてみること
  2. データや数値ではなく、ユーザーをみること

の2点の重要性を感じました。

企業によって、運営するスタンスやサイト自体の特性、伝えたいことは異なるため、それらを明確に定義した上で対応できることを実施する。その反応や結果を検証して改善する。小さなPDCAからスピード感を持って対応していく先に、その企業のサイトやコンテンツの勝ちパターンがみつかるのではないかと感じました。

一方で、マーケターとして忘れてはいけないことは「ユーザーを理解すること」。ツールや管理画面と向き合うだけではなく、ユーザーと直接向き合い、「自分たちの伝えたいことはユーザーが求めていることなのか?」を常に問い続けることが大事であると感じる貴重なセッションでした。

執筆:萬里小路 忠昭

思考設計士 | CONTENT MARKETING ACADEMY 特任講師
デジタルハリウッド大学院デジタルコンテンツ研究科修了(デジタルコンテンツマネジメント修士)

2010年ゼビオ株式会社に新卒入社し、店舗・ECサイトの運営やデジタルマーケティングのディレクションを担当。
2018年GMOアドマーケティングに転職し、約200社にマーケティング戦略に関するワークショップセミナーを実施。
2020年独立し、「マーケティングが機能する組織」をテーマに、チームビルディング支援やリーダーシップ研修を行っている。

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※リンク先は、CMD2019メディアスポンサー「エムタメ!」によるレポート記事です。

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