WebサイトやSNS、動画など、コンテンツの企画も制作も滞りなく進められるのに、いざ公開してみると集客につながらないし、反応が薄い。そんな悩みを持つ方に向けて、知ると最強になれるポイントをお伝えしたいと思います。この悩みは、コンテンツ制作に慣れ始めた方、紙媒体で活躍していた編集者・ライターの方がWebへ参入した際に、よく課題となるテーマでもあります。
まず結論ですが、制作に必要なのはこの3つに対する理解です。以下3つの点を踏まえてコンテンツ制作にあたっていらっしゃいますか。
冒頭から小難しくなりましたが、ここからはこの3つを踏まえたコンテンツの作り方について、ざっくばらんにお話ししたいと思います。
個人的な話になりますが、過去に出版社でコンテンツマーケティングとSEOに注力していた時期がありました。このときの私のミッションは、「新雑誌を想定顧客に認知を広げ、Web経由での“年間購読”を獲得する」こと。マーケティング用語でいえば、ブランディングとCV(コンバージョン)獲得のふたつで、最大の目的はCV獲得です。
施策を行う際にとくに何度も見直し・修正したのはこの6つ。
“痛みの強度”に対する認識が、施策実施においてとても重要でした。
想定ユーザーの購買心理を考えるとき、ユーザーが置かれている状況によって情報ニーズは異なります。“痛み”とは、「顧客が片づけるべき“用事“」のことを指しますが、見込み客となるユーザーを想定する際、全方向に設定すると対象が広すぎてコンテンツにばらつきが出てしまうこともしばしば。そのため最初の施策では、集客と購入の段階を2ステップで考え、対象ユーザーを狭く絞ってコンテンツの制作と情報発信のしかたを設計しました。
「③-2(必要だけど)お悩み客」の最大の痛みに対して、解決案となるコンテンツを公開し、SNSでも拡散する
メディア来訪ユーザーにSNSやメルマガなど、継続的にプッシュ型のコミュニケーションが取れるツールでつながってもらえるよう導線を用意
その上で、ユーザーがある特定のシーンで最も困ったときに検索して出てくるのが「この新雑誌のWebサイト」となるよう、出す情報を徹底的に絞りました。
*書籍『DX時代のコンテンツマーケテイング』4-5 購買態度変容コンテンツフローより引用
この図で言うと、対象にしたユーザーは「③-2(必要だけど)お悩み客」です。
STEP1を入口に初回訪問・接触の機会を作り、「③-2(必要だけど)お悩み客」を集客。このユーザーに必要なコンテンツを投下し続けることで、「このサイトに来ると問題が解決できる」と認識されていくように。次第に結果が出始め、サイト自体がユーザーによって拡散されていきました。この時点で、目的のひとつである「ブランディング」は達成。
結果、自動的にユーザーが「④もうすぐ客」⇒「⑤いますぐ客」に昇格していき、年間購読を継続的に獲得できる流れが生まれ、目的のCV獲得も達成できるようになりました。
加えて、当時は同じ業界のWebメディアでSEO対策をしているところがあまりなかったため、サイトリリース後、早い段階で業界に関するキーワードに関する記事を押さえ、1位のキーワードを多数獲得。そのため集客面で早々にうまくいったことが勝因のひとつにもなりました。
ちょっと抽象的なので、ランドセルの購入タイミングを例に挙げてみます。
今が4月で、5歳のお子さんがいるとします。小学校入学前にランドセルを購入しますが、購入時期はお子さんが6歳のゴールデンウィーク前後がピークだそう。検討する過程やタイミングは家庭によって異なりますが、購入を検討するユーザーの購買段階や心理状況は下記のように整理できます。
【5歳】
春 ランドセルを今すぐ買う理由はないが、いつかは買う
⇒「②そろそろ客」「③-1そのうち客」
冬 どんなランドセルがいいか情報を集めてもいいかな? と思い始める
⇒「③-2お悩み客」⇒「④もうすぐ客」
【6歳】
春 そろそろ購入しようと具体的に検討開始
⇒「⑤いますぐ客」
ランドセルを買う対象ユーザーは②~⑤までの段階を見ると層としては広いですが、ユーザーの状況によって、「買おう」と思う理由とタイミングに強弱があることがおわかりいただけると思います。
私が雑誌のWebメディアに対して最初に集中して行った施策は、5歳のお子さんがいる冬の時期のユーザーに向けてのみ実施しました。つまり、対象は「③-2お悩み客」⇒「④もうすぐ客」。この段階にいるユーザーがとくに必要とする情報発信を行い、購入するタイミングが来たときに私たちを選んでいただけるよう継続的にコンタクトしていたというわけです。
コンテンツマーケティングの記事の型はおもに4つあります。
新雑誌のメディアを運営するときは、「エデュケーショナル型」と「コンテンツSEO」型のふたつを主に使っていました。前述のユーザーの“痛み”に対して知識提供しつつ、そのユーザーが必要とするコンテンツをまんべんなく網羅しながら集客するのに最も適しているためです。
コンテンツの内容が面白いこと、役に立つことを重要視して作ったのに集客につながらない、売上が伸びない、反応が薄い、という現実に直面されている方、いかがでしょうか。
冒頭に挙げた“3つに対する理解”を踏まえてコンテンツ作りをする過程と現在行っている制作過程を比べたとき、どんな点に違いがありましたでしょうか。
ここで再度確認です。
この3つを踏まえたコンテンツ制作は慣れるまで少し骨が折れますが、顧客となるユーザーの購買段階と変容フローを理解してコンテンツを公開すると、効果はまるで違うものになります。ぜひ、試していただきたいです。
詳しい考え方や具体的な手法が知りたい方には、書籍『DX時代のコンテンツマーケテイング』をおすすめします。とくに4章「コンテンツの作り方」が参考になると思います。
など、本稿でざっと触れた内容を体系的に知ることができますし、
……など、今すぐ実践できる手法が詰まっています。
“3つの理解”を押さえた上で、コンテンツ作りのもっと深い部分を追求したい方にはこちらの動画「人の心を動かす『独自性の高いコンテンツ』の作り方 — 陥りやすいNGパターン&成功への10個のルール —」もおすすめです。コンテンツ制作のNG点のほか、独自性を出すコツなど、事例をもとに紹介されていますのでとてもわかりやすいです。
動画は、2020年11月のコンテンツマーケティングイベント(CMD2020)でも人気の高かった中山順司氏(株式会社Faber Company コンテンツ・エバンジェリスト)です。