「ソーシャルメディアは、単なる新しい情報発信の手段に過ぎない」―多くのマーケターがそう思っているかもしれないが、それは大きな間違いだ。ソーシャルメディアは、自社に関心を持ってくれたユーザーを、周囲にプロモーション活動をしてくれる“ファン”へと育成できてしまう、非常に重要なメディアなのだ。では実際にユーザーを惹きつけ、育成するためには、どういう手順を踏むべきだろうか。この記事ではユーザーを育成するためのステップとして、下記の4項目が紹介されている。
ブログやTwitter、Facebook、YouTubeなどの全てのソーシャルメディアは相互につながっている――つまり、ターゲットユーザーは常に一つのメディアにとどまっているわけではなく、複数のメディア間を移動している。だからこそユーザーを効果的にコンバージョンまで導くためには、複数のメディアをいかに連動させるかが重要となる。これが“コンテンツコンバージョンプラン”だ。
まずマーケティング施策で達成したいゴール(コンバージョン)を決める。そしてそのゴールを最も達成できそうなメディアを一つ選ぶ。その他のメディアは、その最も重要なメディアへの流入数を増やすことを目的とするのだ。
ただし、コンバージョンまでの間に関わるメディアの数が多すぎると、その分コンバージョン率が下がってしまうことも覚えておこう。こうならないためにも前述のように、コンバージョンさせる最重要メディア以外のメディアは、流入数拡大のための窓口として使うという一般的な方法がおすすめだ。
情報をより多くの人に届けるには、時間をかける方法とかけない方法がある。時間をかける方法とは、質の高いコンテンツをじっくりと作り、自然に拡散されるのを待つ方法だ。この方法で成功するには、「良いコンテンツ」「安定した更新頻度」「多大な忍耐力」の3つが必要とされる。ただ最後の「忍耐力」は、大企業は持ち合わせていないことが多い。その場合は以下の7つの方法を含む時間をかけない方法の中から、適切な施策を選ぶことが推奨されている。
多くの人の興味を惹きつけることができたなら、次の課題は、彼らを惹きつけ“続ける”ことだ。コンテンツに興味を持ってもらうことは難しいことではないが、一度惹きつけた興味を持続させるためには、大変な努力が必要とされる。InSites Consulting社が行った調査によると、ユーザーがソーシャルメディア上で積極的に交流する企業の数は、1 人あたり5社に過ぎないという。つまり、あなたのブランドがターゲットユーザーの興味を勝ち取り続けるためには、アップル社やコカコーラ社、ディズニー社などの最大手の人気企業と戦い、フォローされる5社のうちの1社にならないといけないのだ。加えて言えばライバルは企業だけではない。ユーザーの友人や家族がシェアする情報も立派な競合になるのだ。そんな中でターゲットユーザーの興味を捉え“続ける”ためにはどうしたらよいのだろうか?筆者は一度惹きつけた興味を持続させるために実施すべき3つのポイントを紹介している。
このステップがもっとも難しいが、成功すれば商品・サービスを宣伝してくれる心強い戦力となってくれるはずだ。そのためにまず必要なのは、「自社についてファンにどう語ってほしいか」を明らかにしておくこと。そして、下記の4つのポイントを実行してみよう。
これら4つのステップは、必ずしも順番に実現するものではない。実際には必要に応じて柔軟に実施することになるだろう。一定のユーザーを確保できたら、あとはステップ2「顧客へのリーチ拡大施策(Reach building)」、ステップ3「コンテンツ作成(Content)」、ステップ4「ファンの育成施策(Conversion)」を繰り返し、ファンを増やしていくフェイズに入る。このループを回して顧客と対話できる環境を整えることが重要なのだ。
ソーシャルメディアを活用するにあたって問題なのは、多くの企業がステップ2や3にのみフォーカスしてしまっていることだ。結果、企業のソーシャルメディア施策が「Facebookに何を投稿しようか?」というような内容にとどまってしまうことになる。そこで先に紹介したコンテンツループを回すことを心がけよう。ソーシャルメディアをさらに効果的に使えるようになるはずだ。
執筆:隠岐由起子編集:三友直樹(日本SPセンター)