CONTENT MARKETING LAB

ソーシャルメディアを強化する4つのステップ

作成者: CML|Jan 28, 2014 8:09:00 AM

「ソーシャルメディアは、単なる新しい情報発信の手段に過ぎない」―多くのマーケターがそう思っているかもしれないが、それは大きな間違いだ。ソーシャルメディアは、自社に関心を持ってくれたユーザーを、周囲にプロモーション活動をしてくれる“ファン”へと育成できてしまう、非常に重要なメディアなのだ。では実際にユーザーを惹きつけ、育成するためには、どういう手順を踏むべきだろうか。この記事ではユーザーを育成するためのステップとして、下記の4項目が紹介されている。

目次

ステップ1:メディア間の行き来を考慮した、コンバージョンプランを立てる

ブログやTwitter、Facebook、YouTubeなどの全てのソーシャルメディアは相互につながっている――つまり、ターゲットユーザーは常に一つのメディアにとどまっているわけではなく、複数のメディア間を移動している。だからこそユーザーを効果的にコンバージョンまで導くためには、複数のメディアをいかに連動させるかが重要となる。これが“コンテンツコンバージョンプラン”だ。

まずマーケティング施策で達成したいゴール(コンバージョン)を決める。そしてそのゴールを最も達成できそうなメディアを一つ選ぶ。その他のメディアは、その最も重要なメディアへの流入数を増やすことを目的とするのだ。

ただし、コンバージョンまでの間に関わるメディアの数が多すぎると、その分コンバージョン率が下がってしまうことも覚えておこう。こうならないためにも前述のように、コンバージョンさせる最重要メディア以外のメディアは、流入数拡大のための窓口として使うという一般的な方法がおすすめだ。

ステップ2:情報をより多くの人に届けるには

情報をより多くの人に届けるには、時間をかける方法とかけない方法がある。時間をかける方法とは、質の高いコンテンツをじっくりと作り、自然に拡散されるのを待つ方法だ。この方法で成功するには、「良いコンテンツ」「安定した更新頻度」「多大な忍耐力」の3つが必要とされる。ただ最後の「忍耐力」は、大企業は持ち合わせていないことが多い。その場合は以下の7つの方法を含む時間をかけない方法の中から、適切な施策を選ぶことが推奨されている。

  1. 誰かに話したくなるキャンペーンを実行すること
  2. 継続的にリズムよくコンテンツを創り続けること
  3. コンテストなどで製品を無償配布すること
  4. キャンペーンやコンテンツを告知するソーシャル広告を出すこと
  5. 従業員自身がコンテンツに興味を持つ読者となること
  6. オフラインでもオンラインでの取り組みを告知すること
  7. 他の大手ブランドとのコラボコンテンツを考えること

ステップ3:コンテンツに惹きつけ“続ける”こと

多くの人の興味を惹きつけることができたなら、次の課題は、彼らを惹きつけ“続ける”ことだ。コンテンツに興味を持ってもらうことは難しいことではないが、一度惹きつけた興味を持続させるためには、大変な努力が必要とされる。InSites Consulting社が行った調査によると、ユーザーがソーシャルメディア上で積極的に交流する企業の数は、1 人あたり5社に過ぎないという。つまり、あなたのブランドがターゲットユーザーの興味を勝ち取り続けるためには、アップル社やコカコーラ社、ディズニー社などの最大手の人気企業と戦い、フォローされる5社のうちの1社にならないといけないのだ。加えて言えばライバルは企業だけではない。ユーザーの友人や家族がシェアする情報も立派な競合になるのだ。そんな中でターゲットユーザーの興味を捉え“続ける”ためにはどうしたらよいのだろうか?筆者は一度惹きつけた興味を持続させるために実施すべき3つのポイントを紹介している。

  1. 編集カレンダーを作る:少なくとも3ケ月間のコンテンツプランを事前に立てておくこと。大きな力を持つ「大型キャンペーン」、コンテンツのテーマに沿った「プロジェクト」、チャネルに活気を与える「コンテンツ更新」の3層構造で考えよう。
  2. クリエイティブなコンテンツを作る:ターゲットユーザーやその友人の心を捉える、高いレベルのクリエイティビティとデザインを実現すること。それにより「いいね!」やシェアの数が飛躍的に伸びるはずだ。
  3. ユーザーとの会話を重視する:ユーザーの発言に耳を傾け、必要であれば迅速に反応すること。

ステップ4:「いいね!」しかしていないユーザーをファンに育成すること

このステップがもっとも難しいが、成功すれば商品・サービスを宣伝してくれる心強い戦力となってくれるはずだ。そのためにまず必要なのは、「自社についてファンにどう語ってほしいか」を明らかにしておくこと。そして、下記の4つのポイントを実行してみよう。

  1. ユーザーを巻き込んだコンテンツ戦略を実施する:自社の意思決定にユーザーを巻き込むことで、そのユーザーがより熱意を持って関わってくれるようになる。コンテンツをシェアしたり、わかりきった質問を投げかけたりするだけでなく、全てのマーケティング活動についてフィードバックを求めてみよう。
  2. 読者をコンサルタントにする:新しいプロジェクトや製品の計画があるなら、ソーシャルメディアでもっとも手厳しい意見を述べてくれるターゲットユーザーを、非公開コミュニティへ招待しよう。そこで議論を進めることで、チームの一員のように感じてもらうことができる。
  3. 質問と回答で関係を築く:(1)を実行するにあたり、ファンからのフィードバックへ確実に返答し、そのやりとりによって関与させ“続ける”こと。あるフィードバックに対して、何を実行したか。あるフィードバックが採用されなかったのはなぜなのか。それらの情報を全てオープンにすることで、ターゲットユーザーの信頼を得ることも忘れずに。
  4. 価値あるアプリケーションを提供する:ファンに付加価値を感じてもらえるアプリケーションを考えてみよう。それは、ターゲットユーザーにとっても、あなたのビジネスゴールにとっても、関連するものであること。ファンが一度そのアプリケーションを使い始めさえすれば、その後はアプリケーションを通じてあなたのブランドを語ってくれるという、素晴らしい方法になるはずだ。

これら4つのステップは、必ずしも順番に実現するものではない。実際には必要に応じて柔軟に実施することになるだろう。一定のユーザーを確保できたら、あとはステップ2「顧客へのリーチ拡大施策(Reach building)」、ステップ3「コンテンツ作成(Content)」、ステップ4「ファンの育成施策(Conversion)」を繰り返し、ファンを増やしていくフェイズに入る。このループを回して顧客と対話できる環境を整えることが重要なのだ。

参照したアーティクル内にて紹介されているループ図より

ソーシャルメディアを活用するにあたって問題なのは、多くの企業がステップ2や3にのみフォーカスしてしまっていることだ。結果、企業のソーシャルメディア施策が「Facebookに何を投稿しようか?」というような内容にとどまってしまうことになる。そこで先に紹介したコンテンツループを回すことを心がけよう。ソーシャルメディアをさらに効果的に使えるようになるはずだ。

執筆:隠岐由起子編集:三友直樹(日本SPセンター)