ウェブサイトやブログで発信するコンテンツを、オーガニック検索で上位に表示させたい場合、どのようなキーワードを設定するべきだろうか。確かなのは、ひと月に15,000回もの高頻度で検索されるようなメジャーなキーワードをわざわざ選んで1位を獲得しようとする必要はない、ということだ。では、どういうプロセスで、「自身のコンテンツに適した」キーワードを探したらよいのだろうか。SEO対策でキーワードを決める際に問いかけるべき、12のチェックリストを紹介しよう。
まずはどのようなキーワードが検索に使われているのかを知る必要がある。Keyword DiscoveryやWordTracker、SEMrushなどのオンラインサービスを使えば、頻繁に使用されている言葉を知ることができるし、Social Mentionではソーシャルネットワーク上でやりとりされている言葉をタイムリーにチェックすることが可能だ。
例えば、「e-commerce」という用語で上位表示させたいというケース。このキーワードでは意味が広すぎるため、ターゲットユーザーと企業の距離を縮めることは難しい。例えば「e-commerce solution provider」のように、よりターゲットユーザーのニーズに迫るように、キーワードの組み合わせを考えるべきなのだ。また、つづりなどの表記の違いによって、検索のされやすさが変わることも覚えておくべきだ。
調査によると、米国の売上規模上位500社のウェブサイトによるペイドリスティング(有料検索)費用は、一日あたり3,400万ドルに上る。しかし、ペイドリスティングを活用したそれらのウェブサイトのうち、購入したキーワードで、googleのオーガニック検索の30位内に入っている割合はわずか2%だ。もし、キーワードを購入しようとしているなら、このようにペイドリスティングのためだけでなく、SEO対策とコンテンツマーケティングへの影響も合わせて考える必要がある。重視すべきは、コンバージョン率とROI(投資収益率)だ。これらの結果を考慮しながら、有料検索、オーガニック検索両方のキーワードを考えることが必要だ。
Web CEOやBrightEdge、SEOmozなどのツールを使えば、検索順位を確認できる。そこから、自分が発信しようとしているコンテンツに関連するキーワードについて、コンテンツ執筆の際に、検索順位のベンチマークを決めるとよいだろう。
新規コンテンツに、キーワードが含まれているかをしっかり確認すること。キーワードの使用頻度は長年議論されてきたテーマだが、もっともよいのは、無理に連呼するのではなく、“自然な流れ”で言及できる機会をなるべく多く設けることだ。
自身のコンテンツにたどり着くために使われたキーワード、サイト内検索で使われたキーワードなどのデータを分析することで、策定したキーワードがどのような言葉と組み合わされ、どれくらいの頻繁で検索されているのかを把握できる。ただし、検索ワードとして使われる回数が多ければよいというわけではない。自社のサービスや製品に関心度の高い、“狙いたいターゲットユーザー”を惹きつけたかどうかが重要なのだ。よい見込み客とつながるために、1000人もの訪問者は必要ないだろう。
例えば、コンテンツが狙うキーワードとして「ノートパソコン」にフォーカスしたとしても、そのコンテンツが実際に検索されるキーワードは「ノートパソコンの買い方」など、事前の想定と少し違ったものになるはずだ。最初にターゲットとして想定しなかった人々が、どのような関心ごとを持ってキーワードを使い分けているのかをチェックするために、コンスタントにウェブサイトを解析し、キーワードをチューニングしていくことが大切だ。
策定したキーワードが役割を果たせているかは、ウェブ解析やコンバージョンファネル(生活者が顧客へと変化するプロセス)などを通して調査しよう。中でも、コールトラッキング(電話追跡)は注目に値する調査方法だ。この調査では、検索で使われたキーワードごとに、ランディングページに異なる電話番号が表示される。各番号への着信を記録し、分析することで、キーワードの効力を計ることができるのだ。
コンテンツに効果的なCall-to-Actionを入れて、キーワードを探ることは特に重要だ。コンテンツを読んだ後、電話をかけるのか、ダウンロードしてもらうのか、さらに読み進んでもらうのか――ターゲットユーザーに何をしてもらいたいかを明確にしておこう。また、入力フォームや電話番号などのレイアウトやカラーも、試行錯誤しながらベストなものを探ること。SEO対策の効果を高めるには、キーワード選びのみならず、ユーザビリティ向上やコンバージョンの機会創出も大切な要素となる。
内部リンクを集めた関連情報ページがあれば、、SEO対策との相乗効果でコンテンツマーケティングが発揮する力は高まるはずだ。できるだけ多くのページにアンカーテキストを設けて内部リンクの機会を増やし、そのアンカーテキスト内にキーワードを含めることを心がけたい。
SEO対策とコンテンツマーケティングのためのキーワード策定は、その日にアップするコンテンツに合わせて考えるものではなく、向こう数週間でアップする予定のコンテンツ群に基づくべきものである。そのためにも、コンテンツを事前に計画するコンテンツカレンダーを活用し、制作に取り掛かる前にキーワードを策定しよう。主要なキーワードが決まれば、コンテンツ展開の優先順位を考えたり、足りないコンテンツを洗い出したりできるからだ。
一般的に、検索ワードをそのままドメイン化させた完全一致ドメインは、検索に有利に働く。2012年にgoogleは、SEO目的でこのようなドメインを採用している質の低いサイトを排除する目的でアルゴリズムの変更を発表したものの、きちんとしたコンテンツを展開するウェブサイトにとっては決して不利な変更ではない。むしろ現在もドメイン名が上位表示に与える影響は大きいと言える。
執筆:隠岐由起子編集:三友直樹(日本SPセンター)