CONTENT MARKETING LAB

コンテンツマーケティングとGEO:商品ページのGEO対策

作成者: 今里|Sep 5, 2025 5:00:00 AM

1.あなたの商品ページ、AIに届いています 

年内には、GoogleのAI Modeが日本でも導入されると言われています。検索がAIによる要約や推薦を通じて行われるようになると、従来のSEO対策だけでは不十分になり、 「AIに理解される商品ページ」 が競争力の源泉になります。 

以前の記事「コンテンツマーケティングとGEO:生成AI時代に備えるための新戦略」では、ウェブコンテンツを3つの領域に分けて整理しました。その中でも 領域2である商品ページは「絶対に落とせない主戦場」 です。製品名や価格、仕様といった正確な情報が、AIによる公式引用の対象になりやすいからです。 


▲商品ページは領域2に位置し、確実に対策してAI検索で正確に引用されたい主戦場。

では、その「商品ページ」をどう設計すればよいのでしょうか。単なるスペックの羅列ではAIに拾われにくく、ユーザーの目にも届きません。AI検索時代に対応した商品ページのあり方を考えるうえで大きな示唆を与えてくれたのが、How to make ecommerce product pages work in an AI-first world」という記事でした。この記事では、GEO対策において、商品説明を「事実のカタログ」から「意味を持つストーリー」へと昇華させる必要性を強く訴えていました。 

2.商品説明に盛り込むべき4つの要素  

では、意味を持ったストーリー作るにはどうすればよいのでしょうか? 
Gert Mellak氏は、商品説明に必ず盛り込むべき要素として次の4つを挙げています。 

・解決する課題 
 どんな悩みや不便を解決するのか? 

・提供する価値 
 その商品がもたらす具体的なベネフィットは何か? 

・想定するユーザー 
 誰に向けた商品なのか? 

・活躍するシーン 
 どんな状況・シーンで真価を発揮するのか? 

この4つを意識するだけで、商品説明は営業トークとして力を持ち、AIにとっても人にとっても理解しやすい説明に変わります。 

3.登山ブーツの例で見るBefore / After 

この4つの要素を実際に取り入れると、商品ページはどのように変わるのでしょうか。記事の中で紹介されていた登山用ブーツの事例を見てみましょう。 

Before 
防水ハイキングブーツ。ゴアテックス仕様。サイズは7〜12インチ。カラーはブラック、ブラウン、タン。 

 

確かに事実は並んでいますが、誰にどんな風に役立つのかは伝わってきません。4つの要素を意識して改善したコピーが下記になります。 

After 
予測不能な天候の中で険しい地形に挑む、本格的なアウトドア愛好者のために設計された防水ハイキングブーツ。ゴアテックス構造が、小川を渡るときや突然の豪雨でも足をドライに保ちます。深い凹凸のあるトレッドパターンが、崩れやすい岩場やぬかるんだ道でも安心感を提供。数日間のバックパッキングや山岳地帯での日帰り登山、天候に左右されずに冒険を楽しみたい人に最適です。-20℃までの環境に対応。 

 

スペックの羅列から一転、営業マンが顧客に語りかけるような説明に変わりました。Afterのコピーには「解決する課題」「価値」「ユーザー」「シーン」の4要素が自然に盛り込まれているため、人には購買イメージが湧き、AIには文脈が理解しやすくなるのです。 

4.応用編:洗濯機の商品説明を変える  

ではこの原則を家電に応用してみたいと思います。 

例えば、洗濯機のコピーで実験してみましょう。 
 

Before 

10kg容量。温水泡洗浄。自動お掃除機能付き。 

 

スペックはわかりますが、生活者の目線からはイメージしにくい説明です。 

そこで、先ほどの4要素を踏まえて書き直すと下記のようになります。リライト作業に生成AIを活用してみるのも良い方法だと思います。 

例えば下記のプロンプトで書き直してみるとAfterのコピーが生成されました。 

【プロンプト】 

 
(ここに改善前のコピーを入れる) 

上記のコピーを下記の4つの要素を意識して、AI検索で引用されやすいコピーに改善してください。  

  1. 解決する課題:どんな悩みや不便を解決するのか? 
  2. 提供する価値:その商品がもたらす具体的なベネフィットは何か? 
  3. 想定するユーザー:誰に向けた商品なのか? 
  4. 活躍するシーン:どんな状況・シーンで真価を発揮するのか?

 

After 

忙しい毎日に寄り添う10kg大容量の温水泡洗浄洗濯機。共働きでまとめ洗いをするご家庭に最適です。黄ばみや部屋干し臭を抑える温水洗浄機能で、梅雨の時期や冬の室内干しでも安心。部活で泥だらけになった子どものユニフォームも、泡の力で繊維の奥までしっかり洗浄します。さらに自動お掃除機能で、忙しい毎日でも清潔さを保てます。 

 

改善後では「解決する課題(臭い・泥汚れ)」「提供する価値(清潔さ・時短)」「想定ユーザー(共働き家庭・子育て世帯)」「活躍シーン(梅雨・部活)」がしっかり盛り込まれています。 

5.構造化データを活用する 

4つの要素を意識するだけでも、商品ページは営業トークとして人にもAIにも強くなります。 
しかし、AI検索でさらに有利にするには 構造化データ(Schema.org) の活用が効果的です。 

例えば、先ほどの洗濯機の改善後のコピーにJSON-LD構造化データ を付与する場合、次のように表現できます。 

【JSON-LD構造化データ例】 

<script type="application/ld+json"> 

  "@context": "https://schema.org", 

  "@type": "Product", 

  "name": "10kg 温水泡洗浄 洗濯機", 

  "description": "忙しい毎日に寄り添う10kg大容量の温水泡洗浄洗濯機。共働きでまとめ洗いをするご家庭に最適。黄ばみや部屋干し臭を抑える温水洗浄機能で、梅雨や冬の室内干しでも安心。部活で泥だらけのユニフォームも泡の力で繊維の奥までしっかり洗浄。自動お掃除機能で清潔さをキープ。", 

  "category": "WashingMachine", 

  "audience": { 

    "@type": "Audience", 

    "audienceType": "家庭用", 

    "name": "共働き世帯・子育て世帯" 

  }, 

  "additionalProperty": [ 

    { 

      "@type": "PropertyValue", 

      "name": "洗濯容量", 

      "value": "10 kg" 

    }, 

    { 

      "@type": "PropertyValue", 

      "name": "洗浄方式", 

      "value": "温水泡洗浄" 

    }, 

    { 

      "@type": "PropertyValue", 

      "name": "ニオイ対策", 

      "value": "黄ばみ・部屋干し臭を抑制する温水洗浄機能" 

    }, 

    { 

      "@type": "PropertyValue", 

      "name": "泥汚れ対応", 

      "value": "泡が繊維の奥まで浸透し泥汚れを落とす" 

    }, 

    { 

      "@type": "PropertyValue", 

      "name": "お手入れ", 

      "value": "自動お掃除機能" 

    }, 

    { 

      "@type": "PropertyValue", 

      "name": "想定シーン", 

      "value": "梅雨時・冬の室内干し・まとめ洗い" 

    } 

  ] 

</script> 

 

ここではoffersbrandskugtinなどのGoogle推奨プロパティは省略していますが、このように構造化データを組み込むことで、商品説明の「課題・価値・ユーザー・シーン」をAIに理解させやすくなります。 

6.実はLLMは構造化データを直接読んでいるわけではない

「LLMは構造化データを読むのか、読まないのか?」という議論があります。結論から言えば、LLMはJSON-LDを直接読み込むわけではありませんが、その構造化された情報は検索エンジン経由でAI回答の素材として役立っています。 

この点について詳しく整理しているのが、「From Retrieval to Reasoning: The Architectural Evolution of Information Systems for Large Language Models」という記事です。ここで指摘されている重要なポイントは、AIが情報を参照するプロセスには大きく2つのパターンがあるということです。(もちろん、進化が早いのであくまで現段階における推測になります。) 

漠然としたクエリの場合(例:「おすすめの洗濯機」) 

情報を幅広く収集して整理する必要があるため、検索エンジンがクローラーで収集し、インデックスとして整理した情報を参照します。インデックスを作成する際にはページの構造化データも利用されています。つまり、JSON-LDによる情報は間接的にAIに利用されていることになります。 

ピンポイントなクエリの場合(例:「NA-FA10K1」などの品番) 

正確で詳細な情報を収集する必要があるため、AIがページを直接読み込んでHTMLを解析する場合があります。このとき、<script>タグ内に記述されたJSON-LDは画面に表示されないため参照されにくく、逆にHTML要素の属性として埋め込まれているmicrodataはAIに読み取られやすくなります。 

まとめると、広く曖昧な検索にはJSON-LD、狭く具体的な検索にはmicrodataが効くということになります。この事実から考えると、商品ページは「品番」「型番」「機能」といったピンポイント検索で探されるケースが多いため、AIが直接読み取れるmicrodataを軽視すべきではありません。ただし、比較検討の段階ではJSON-LDが有効に働くため、両方を備えた二段構えの実装こそが商品ページにおける理想的なGEO対策だと言えるでしょう。 

まとめ:AIに伝わる言葉を設計しよう

これからの商品ページに求められるのは、単なるスペックの羅列ではありません。 
重要なのは AIに理解され、人にも自然に伝わる「意味のある言葉」 に整理することです。 

その要素はシンプルです。 

  • 解決する課題 
  • 提供する価値 
  • 想定するユーザー 
  • 活躍するシーン 
  • Schema.orgによる構造化(JSON-LDやmicrodata) 

これらを商品説明に組み込むことで、AIに拾われやすくなり、同時に見込み客にも響く説明へと変わります。GEO対策の本質は、AIと人の両方に届く「二重の説得力」を持ったコンテンツを設計すること。その第一歩は、商品ページを「AIに理解され、人に響く物語」へと磨き上げることであると考えます。 

 

執筆:渡辺一男 

CONTENT MARKETING LAB ファウンダー 

※本記事は執筆及び画像作成にあたり、生成AIを利用しています。