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新入社員のためのコンテンツマーケティング入門(7) コンテンツへの落とし込み方

作成者: CML|Oct 14, 2016 1:31:00 AM

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コンテンツ化の鍵はエモーショナルな要素とロジカルな要素のバランス

前回までの作業で各ペルソナ別の情報ニーズが明らかになり、その情報ニーズに応えるコンテンツ、正確にいうならばコンテンツテーマが明らかになりました。次にやるべきことは、そのコンテンツテーマを具体的なコンテンツとして具現化することです。

コンテンツ化するためには、ペルソナの認知レベル、情報入手形態、購買プロセス上の位置などから判断して適切な表現、適切なメディアやフォーマットを選ぶ必要があります。表現と形は密接に結びついているため、どこからが表現であり、どこからが形であるのかは曖昧ではありますが、一旦切り分けて説明していきます。

まず適切な表現について説明します。ベーシックな行動心理を知っておくと、コンテンツを読んでもらう、あるいは見てもらうための表現を考えるのに役立ちます。ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンによると、人が何かを決める際には脳の中で2つの思考システムが働くようです。

一つ目はシステム1。これは自動的に高速で働き、これを稼働させるのに努力はあまり必要なく、コントロールしているという感覚すらない思考システムです。エモーショナルかつ直感的なシステムともいえます。

例えば、二つの物体のどちらが遠くにあるのかを見分ける、突然聞こえた音の方向を感知する、「猫に○○」という慣用句を完成させる時などに働く思考がシステム1です。

次にシステム2ですが、これは複雑な計算など、頭を使わなければできないような困難な知的活動時に働くシステムです。

例えば38 x 47=?という問題を見たときに働くのがシステム2になります。この数式を皆さんが見たときに感じたように、システム2 を稼働させるには努力が必要になります。システム2は記憶容量が小さく、労力を必要とするため、普段は最小限のレベルで活動しています。

商品やサービスによって、どちらのシステムに訴えかけた方が良いのかは異なりますが、コンテンツマーケティングが広告よりも優れている特長の一つは、段階的に論理的に理解してもらうこと。つまりシステム2に訴える商品やサービスに特に向いています。

では、システム1に働きかけ、システム2が稼働するようにするにはどうしたらよいのか?システム1だけでは判断できない内容であり、システム2が稼働するほど重要なメッセージを瞬時に伝達することがコンテンツを読んでもらう、あるいは見てもらうための鍵となります。様々な手法がありますが、システム2に本気になってもらうのに一番簡単なのは、ある種の驚きを提示することです。

以下の2つの文章を読んでみてください。どちから一方しかクリックできないとした場合、あなたならどちらを選ぶでしょう?

1)一番お得なガン保険の選び方

2)後悔しないためのガン保険の選び方

保険に対する知識量や、現在の状況によって異なるとは思いますが、多くの人が2を選んだのではないでしょうか?これは前述のダニエル・カーネマンがプロスペクト理論で言及した損失回避性と呼ばれる現象ですが、多くの人が2を選ぶのは、「人は利益を得ることよりも、損失を回避することを重視する」という心理傾向があることに起因します。

ダニエル・カーネマンはギャンブルで実験を行っているが、同じ金額であっても、利得よりも損失の方を1.5倍から2.5倍強く感じる傾向があることを発見した。極端にいうと、1万円を失う損失感の絶対値は、1万円をもらえる喜びの絶対値の2倍ぐらいあるということ。
注)ダニエル・カーネマンの書籍ファスト&スロー(下) あなたの意思はどのように決まるか? (ハヤカワ・ノンフィクション文庫) のp102の図を基に著者改編。

上記の手法はブログ記事のタイトルを考える時などに活用できますが、「失敗しないための」、「後悔しないための」、「だまされないための」「日本人だけが知らない」といったタイトルばかりになると怪しげなブログになってしまいますので、全体のバランスが重要になります。

また購買プロセスの初期段階では、システム2の重い腰を上げるために、サプライズ要素が必要ですが、購買プロセスの中期以降では、既にシステム2が稼働しやすくなっているわけですから、このようなギミックは逆にノイズになり、ストレートに語りかけることが重要になってきます。

コンテンツには適した形がある

さて次に、コンテンツの入れ物であるメディアやフォーマットについて説明します。コンテンツには、その役割に応じて適したフォーマットがあります。この際に役立つのがSmart Insights社が作成したコンテンツマトリクスです。コンテンツの役割を4象限に分けて、それぞれに適したメディアやフォーマット例を紹介しています。どんなメディア、どんなフォーマットで伝達したらよいかについて迷った時のヒントになります。それぞれのメディアあるいはフォーマットについての説明を参考にして、適切なものを選択するとよいでしょう。

Smart Insights社のコンテンツマトリクス 。縦軸は、上に行くほど情緒的伝達、下に行くほど論理的伝達に適していることを示しています。横軸は、左から右に向かって、認知から購買に至る購買プロセスを表しています。

オリジナルのインフォグラフィックスには説明がありません。以下は著者の見解を交えた説明です。

  • VIRAL(バイラル)

    面白い動画などを作成して、バズることを狙う手法です。

  • Quizzes(クイズ)

    クイズで認知を図る方法です。商品名を覚えてもらう時などに有効です。

  • VIDEOS(動画)

    動画を用意して自社サイトやYouTube等にアップして認知を図る方法です。

  • COMPETITIONS(コンテスト)

    写真コンテストなど、ユーザーに作品を応募してもらう方法です。

  • GAMES(ゲーム)

    例えば自動車会社が車のレースゲームを用意するなど、ゲームを通して認知を図る方法です。

  • ARTICLES(記事)

    ブログなどを利用して、トピックに基づいた記事を配信する手法です。

  • EBOOKS(電子書籍)

    PDFなどで電子書籍を配信する方法です。実際にアマゾンなどで配信あるいは販売する手法もあります。

  • INFOGRAPHICS(インフォグラフィク)

    複雑な情報を一目でわかるビジュアルで表現したインフォグラフィクを利用して配信する手法です。

  • GUIDES(ガイド)

    買い方ガイド、選び方ガイドなどのガイドを用意して認知を図る手法です。

  • PRESS RELEASES(プレスリリース)

    プレスリリースを配信する手法です。

  • TRENDS(トレンド情報)

    業界動向、流行の兆しなど、今後のトレンドについての情報をまとめ認知を図る方法です。

  • WIDGETS(ウィジェット)

    PCやスマホ用のウィジェットを配布して認知を図る方法です。

  • ENEWS(メール配信)

    商品や業界の最新ニュースを登録したユーザーにメールで配信する手法です。

  • DEMO VIDEOS(デモビデオ)

    商品の使い方などを説明したデモビデオを配信する手法です。

  • REPORTS & WHITEPAPERS(レポート、ホワイトペーパー)

    業界動向や今後のトレンドをまとめたレポートやホワイトペーパーを配信する手法です。

  • CELEBRITY ENDORSEMENTS(有名人による推奨)

    有名人に商品やサービスの推奨をしてもらう手法です。

  • COMMUNITY FORUMS(コミュニティフォーラム)

    商品ユーザー、同じ業界ユーザー等のテーマ別にコミュニティを作り、ユーザー間での情報共有を活性化させる手法です。

  • REVIEWS(評価記事)

    ユーザーあるいは専門家に、商品を使用した感想などを評価記事として書いてもらい配信する手法です。

  • EVENTS(イベント)

    イベントを開催する手法です。

  • RATINGS(評価)

    商品やサービスについて、ランク付けしてもらう手法です。

  • INTERACTIVE DEMO(インタラクティブデモ)

    一方的にデモ映像を流すのではなく、ユーザーが実体験できるようなインタラクティブデモを使う手法です。

  • PRODUCT FEATURES(商品特長)

    商品やサービスに関する特長をまとめた情報を用意する方法です。

  • CASE STUDIES(ケーススタディー)

    導入事例、納入事例などを用意する手法です。

  • CHECKLIST(チェックリスト)

    商品選び時の確認ポイントなど、チェックリスト方式で情報提供を行う手法です。

  • PRICE LIST(価格表)

    価格表を用意する手法です。

  • CALCULATIONS(計算機)

    仕様やオプションによって最終的な価格が大きく異なる場合に計算機やシミュレーター、早見表などを提供する手法です。

より詳しい内容を知りたい方は、是非下記の書籍をご一読ください。

  • Webコンテンツマーケティング サイトを成功に導く現場の教科書

    著者:株式会社日本SPセンター サイズ:B5変形判 定価:本体2,000円+税 発刊日:2015年12月18日

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