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新入社員のためのコンテンツマーケティング入門(4) 3C分析からビジネスゴールの設定まで

作成者: CML|Jul 15, 2016 7:45:00 AM

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マーケティング戦略立案の基本は3C分析

コンテンツマーケティングを始める場合にもマーケティング戦略の基本である3C分析は必須です。3C分析とは市場環境をCustomer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)という3つの分野に分けて現状を把握し、自社が取るべき戦略を見つけるための分析手法です。

まずCustomer分析ですが、取材やインタビューを行ったり、オープンデータや自社の顧客データを利用したりして、市場規模や市場の成長性、既存客の属性、潜在見込客の属性、商品やサービスに対するニーズ、問題点などを洗い出していきます。コンテンツマーケティングにおいては、ここで得られた情報を利用しながら、後ほどペルソナ策定を行いますので、非常に重要なステップとなります。

次にCompetitor分析ですが、これは競合となる商品やサービスについて調べ、競合の強みや弱みを知る作業になります。コンテンツマーケティングにおいては、見込客が自分のニーズに適した商品やサービスが明確でない状態から接触を図りますから、直接の競合はもちろん、同様の解決策となる商品を提供している会社も視野に入れて分析を行う必要があります。競合のウェブやSNSを分析する作業もここに含まれます。

最後にCompany分析ですが、Customer分析やCompetitor分析で得られた市場や顧客のニーズ、不満、競合の戦略に鑑みながら、相対的な自社の強みと弱みをまとめ、自社の戦略の方向性を見いだす作業です。コンテンツマーケティングにおいては、特に現在のコミュニケーション戦略の強み、弱みについて詳細に検証する必要があります。

コンテンツマーケティングに3C分析を利用する際には、Customer、Competitor、Companyの各分析情報を上から並べて整理することをお勧めします。このように並べると、購買プロセスと連動することが多いため、Customer分析で得られた情報が認知獲得のためのコンテンツソースに、Competitor分析で得られた情報が検討段階でのコンテンツソースに、Company分析で得られた情報が購入決定のためのコンテンツソースになることが多く、その後の作業に役立つからです。

3C分析の結果と購買ファネルを並べて考えるとファクトをコンテンツ化しやすくなる。例えばCustomer分析で、「出張時のスーツのシワに悩んでいたビジネスマンがホテルのお風呂で一晩ぶら下げておくとシワが取れるという情報を知り、アイロンのスチーム機能を使うようになり、より簡単さを求めスチーマーを使うようになった」というファクトがわかったとする。認知コンテンツのネタとして、出張時のスーツのシワ取りコンテンツが発想できる。

ビジネスゴールを設定しよう

さて、3C分析の次に必要なのがビジネスゴールの設定です。ビジネスゴールは3C分析で見えてきた大まかな打ち手の達成度合いを検証できるように具体的にしたものです。ビジネスゴールを設定せずに、コンテンツマーケティングを実践していくとなかなかうまくいきません。例えば「コンテンツマーケティングが流行っているからコンテンツマーケティングをやってみよう」、「コンテンツマーケティングがSEOに有効らしいからやってみよう」といった動機では失敗する確率が高くなります。また、ビジネスゴールが曖昧だと、途中で戦略を変更しなければならなくなった場合に指針がないため方向性を見いだせず、ただコンテンツを作ることが目的化してしまう恐れがあります。

ちなみに当サイトContent Marketing Labのビジネスゴールは下記になります。

Content Marketing Labのビジネスゴール

  • コンテンツマーケティングの情報を幅広く提供し、啓蒙を行うことにより、初回引き合い時の商談で、すぐに具体的なディスカッションができるようにする。
  • コンテンツマーケティングに関する疑問が生じたときに一番の相談相手になれるよう、Googleの検索順位で1位を目指し、引き合い件数、月3件を目標とする。
  • 3名の社員の隙間時間で上記を実現するために、量は追わずに、毎月2、3本の記事を掲載し続ける。但し、記事のクオリティーと類似サイトとの差別化は重視する。

ビジネスゴールの設定に使える手法、SMART

ビジネスゴールの設定方法によく使われるSMARTという手法があります。SMARTにもいくつか種類がありますし、必ずしもSMARTを使わなければならないというわけではありませんが、必要な要素を漏れなく押さえるために便利な手法です。

要素1:Specific(具体的)

明確で具体的な内容である。

要素2:Measurable(測定可能)

達成度合いが計測でき、数字で判断できる。

要素3:Action-Oriented(行動重視)

目標達成のための活動を具体的な行動に落とし込んでいる。

要素4:Realistic(現実的)

目標がチャレンジングであり実現可能なものである。

要素5:Time Specific(期限がある)

いつまでに目標を達成するか、その期限を設定している。

ちなみに私たちContent Marketing LabのビジネスゴールをSMARTの要素に分解してみると下記のようになります。

Content Marketing LabのビジネスゴールをSMARTに分解した例

Specific:コンテンツマーケティングの情報を提供し、商談の効率を高める。

Measurable:Googleの検索順位で1位。

Action-Oriented:毎月2、3本の記事を掲載。

Realistic:3名の社員の隙間時間で上記は実現可能。

Time Specific:引き合い件数月3件

コンテンツマーケティングにおけるビジネスゴールの方向性

SMARTの上位概念として、何か大まかな方向性があった方がビジネスゴールを設定しやすいという場合には、以下の4つの方向性を利用しても良いでしょう。最終的に売上につなげるのは当然として、その前段階としてコンテンツマーケティングを実践することで、どういう顧客に対して、どんな関わり合い方をすべきなのかで方向性を決めると良いでしょう。マーケティングコミュニケーションにおける現状の問題点を解決するのか、あるいは、ありたい姿を目指すのかなども目標設定の指針となります。ちなみに、Content Marketing Labは、カスタマーエデュケーションを目標としています。

ビジネスゴールの4つの方向性

  1. ブランド認知(名前を覚えてもらう)

    ブランド認知が商品の購入決定要因の大部分を占める商品やサービスの場合の目標として適しています。

  2. ブランドロイヤリティ(ファンになってもらう)

    趣味性の高い商品やサービスなどにおいては、 既存顧客は最大のセールスマンになります。既存顧客からの口コミを重視した場合の目標として適しています。

  3. カスタマーエデュケーション(正しい知識を持ってもらう)

    購入前の検討期間が比較的長い商品やサービスの場合に有効な目標設定です。売上向上だけでなく、例えばお客様相談室への問合せを削減したい場合の目標にも適しています。

  4. カスタマーエンゲージメント(日常的な関わりを持ってもらう)

    生活者と常に関わり合うことが重要な商品やサービスの場合に有効です。

コンテンツを通じてお客様とどのような関係性を作りたいのかを決めると、どのようなコンテンツが適切なのかを判断しやすくなる。

次回はペルソナ設定の方法について紹介する予定です。

より詳しい内容を知りたい方は、是非下記の書籍をご一読ください。

  • Webコンテンツマーケティング サイトを成功に導く現場の教科書

    著者:株式会社日本SPセンター サイズ:B5変形判 定価:本体2,000円+税 発刊日:2015年12月18日

    ISBN:978-4-8443-6561-7

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