「コンテンツマーケティングを戦略的に実施しよう」という掛け声はよく聞くものの、具体的な進め方が分からない方も多いかもしれない。
戦略的なコンテンツマーケティングと一口にいっても、大きく分けて、企画段階と運用段階の2つがある。
前者は、コンテンツマーケティングという手法を使ってビジネスゴールをどのように達成するのかを具体化するステップ。ペルソナやカスタマージャーニーといった手法を使って、対象ユーザーを理解したり、KGIなどの目標設定を行ったりするのがこの段階だ。
後半の運用段階は、ビジネスゴールを達成するためのコンテンツ作りのフェーズだ。プランニングやコンテンツ制作、コンテンツマネジメントなど、コンテンツ制作のプロセスがここに含まれる。
今回はコンテンツマーケティングの現場で重要となる、運用段階にスポットを当て、コンテンツ制作でやるべき項目を解説していく。具体的には以下の3ステップとなる。
いきなりコンテンツを作り始める前に、まず押さえておくべきなのがこのステップ。自社のコンテンツに求める要件を決めるのだ。
このステップでは、ユーザーニーズを満たしつつビジネスゴールを達成するには?という視点で、伝えるべきメッセージを構造化していく。この作業によって、コンテンツ制作の要件書が出来上がることになる。
要件書によるカバー範囲は、自社ブランドの在り方とそれを伝えるために必要なメッセージと幅広いため、作成にあたってはマーケティング担当だけでなく、営業やデザイナー、カスタマーサポートなど、他部署の担当者も交えることが理想だ。
たとえば部署横断での協議の結果、自社ブランドを表すキーワードとして「既存の枠組みにとらわれない・専門性の高さ」「実用的だがスタイリッシュ」「包括的だが一般的ではない」の3つが出てきたとする。これらメッセージの要件をドキュメント化したものが以下の例だ。
伝えるべきメッセージを明確にできたら、既存のコンテンツと照らし合わせることで課題を抽出していく。メッセージ要件を定義する前に作成したコンテンツに、課題が全く見当たらないということはおそらくないだろう。
課題抽出のための手段が、既存コンテンツの棚卸と精査だ。これまでに発信してきたコンテンツのタイトルやURL、ジャンル、目的などをスプレッドシートにまとめる。これによって既存コンテンツの全体像を把握できる。
コンテンツの選定やタイトルなどが、前ステップで設定したメッセージ要件に沿っているか、各コンテンツの目的は適切か、ジャンルごとに本数の偏りはないか、といった視点で俯瞰して精査できるのがポイントだ。各コンテンツのアクセスデータ(PVや直帰率、コンバージョン貢献数など)も併せて確認することで、コンテンツの傾向をより詳細に理解できるだろう。
ここまでのステップで、発信すべきメッセージと既存コンテンツの課題を整理できるだろう。発信すべきコンテンツのイメージがより明確になってきたはずだ。次はこれらを踏まえて新規コンテンツを作成するステップに入る。
具体的には、作るべきコンテンツの概要を1ページの資料にまとめる作業だ。この資料には、トピックや目標、目標達成のためにコンテンツが満たすべき条件と優先順位、ペルソナ、評価指標といった項目を記入する。
新規コンテンツの方向性を明確にできることに加えて、コンテンツ制作者やデザイナー、クライアントなど、すべての関与者で共有することで、共通認識を持つことができる。制作時のコミュニケーションがよりスムーズに進むはずだ。