CONTENT MARKETING LAB

【CMD2022 学生レポート】言葉をヒントに、相手を知る。 ~顧客理解は仮説立てから~

作成者: CML|Mar 23, 2023 4:22:00 AM

言葉のプロフェッショナルに惹かれて

2022年12月19日~23日に開催された、オンラインマーケティングイベント「CONTENT MATKETING DAY 2022」。「CX² 体験をデザインする」をテーマに、デザインからコピーライティング、CMSやメタバースなど、様々な領域の実践者たちが登壇しました。

本記事では、プロのコピーライターとして活躍する近藤智子氏のセッションをご紹介します。近藤氏は2015年よりフリーランスで活動。カタログや会社案内の企画・構成・コピーライティングを中心に、コンセプトメイクやネーミング開発、取材などを行い、ライフスタイルに関わるプロジェクトを得意とされています。

私は現在文学部の4年生。日本語キャッチコピーの研究に励んでいます。言葉のプロフェッショナルであるコピーライターが語る「言葉を拾い、相手を知る。」というテーマに惹かれ、このセッションを視聴しました。

▼セッションのアーカイブ動画はこちら
【CMD2022本編】言葉をヒントに、相手を知る。 ~顧客理解は仮説立てから~【近藤 智子 氏】

こんなあなたにおすすめ

特にビジネスの場や日常生活の会話の中で、相手を深く知りたいと考えている方に見てほしいセッションです。シチュエーションごとに例を挙げながら、相手の言葉からヒントを拾い、仮説を立てる方法を学べます。視聴後は「この人はこんな言葉を使うから、このような価値観を持っているのかもしれない」と考えながら話すことで、円滑なコミュニケーションを築く一歩を踏み出せると思います。

セッションのポイント

近藤氏は言葉を意識するトレーニングを二つ紹介しています。

できるだけ遠い世界の人の話を聞く、読むこと

具体的には、SNSやWEBメディアで自分から遠い人の情報を集めて知識を得ることです。ターゲットの言葉遣いや所属するコミュニティの専門用語などに着目することで新たな価値観や言葉を知ることができます。

よくある言葉、常套句をいったん禁止すること

近藤氏によると、「寄り添う」などの多様な意味を込めやすい言葉は、意味のずれが起こりやすいとのこと。この場合、「寄り添う」に込めている意味を再検討し、別の言葉で言い換える癖をつけると自然と言語化能力を高めることができます。

自分を振り返ってみると、どうしても興味のあるジャンルの記事ばかり読んでしまい、「できるだけ遠い世界の人の話を聞く、読むこと」があまりできていない気がします。

例えば同じエンタメジャンルでも、気になる今期のアニメの記事はだれよりも真っ先にチェックしているのに、それ以外の記事(ドラマや映画)はざっとタイトルを見ただけでスルー…。ましてや政治や経済の記事には気も留めないため、最近は病院の待合室で流れるニュースで「こんなことが起こっていたのか」と知りました。 そういった具合なので、自分でも無意識のうちに、興味のあるなしで情報を選別しているわけです。これでは、自分自身で興味関心を広げるきっかけを失ってしまっています。

会話でも、私は同じ趣味の友人とばかり話すことが多く、新しい人間関係やコミュニティに対して臆病になっている気がします。なかなか自然にできることではないのですが、新たな価値観や言葉を知るためにも、勇気を出して意識的に「新しい言葉」や「価値観」に触れる機会を増やしていきたいと感じました。

相手の仮説を立ててみる

 

近藤氏は、「相手を理解するには言葉からヒントを拾って仮説を立てることが大事」と語りました。たしかに、相手のことを100%理解するのは難しいですが、会話の中で「この人はこうかもしれない」という仮説を立てることはできますよね。
相手の言葉から仮説のヒントを拾う話から、友人とのあるエピソードを思い出しました。

私はある友人に恋愛相談をされ、アドバイスを求められたので自分の考えを伝えました。その後彼女からの連絡が少なくなったため、いらぬおせっかいをして嫌われてしまったのではないかと悩んでいたところ、友人にこう言われました。

「なんでも悪いほうに考えすぎやって。気楽に構えたら?」

私は悩んでいる自分を軽く捉えられたと感じて、「こんなことで悩む自分がおかしいのかな」と落ち込んでしまいました。

しかしこのセッションで語られているように、相手の言葉に仮説を立てて考えたとします。
友人は普段からポジティブで、大学の単位を落としそうなときも「ギリギリの時の方がやる気出るわ!」と笑っていました。ほかにも「まあ気にしても仕方ないか」「楽しいことに目を向けるわ」など、前向きな言葉を多く使います。彼女は問題に対して「なんとかなる」という価値観を持っていると仮説を立てれば、今回の言葉も納得できます。「気楽に構えて、問題がいい方向に進むと思って過ごせばいい」という励ましを一番に伝えたかったのだと見方を変えることができました。

このように、言葉の裏にある価値観を探り、言葉に込めた意味を理解することで、コミュニケーションのすれ違いも少なくなるのだと発見できました。

キャッチコピーの「言葉の力」

私は言葉が持つ、「人の心を動かし、背中を押す力」に関心があり、文学部ではその力が発揮されるキャッチコピーの研究をしていました。具体的にはキャッチコピーの用例をデータ化し、頻出する語にはどのような意味、意図が込められているのかを分析しました。結果、キャッチコピーには以下二つに分類される語が頻出しました。

  • 人々が帰属意識を感じやすい普遍的な語
    「人」「自分」「私」「僕」など
  • 多様な意味を込めやすく、解釈の幅が広い語
    「美しい」「変わる」「生きる」「好き」など

調査でわかった「普遍的な語」「解釈の幅が広い語」は、さまざまな人がさまざまな状況で使う言葉であるがゆえに、使い方次第で幅広い効力を発揮します。

表現に真摯に向き合い、読み手の気持ちを考える近藤氏を見て、キャッチコピーに限らず、コピーライティングは言葉の力をどう引き出すかが大事なのだと思いました。そのためには言葉だけでなく、それを届ける人への深い理解が必要ですよね。私もコピーライティングに取り組む際は、一つ一つの言葉の意味や表現を大切にし、伝え方に責任を持ちたいと思いました。

私にとっての発見

セッションを聞いて、身近にある言葉の持つ意味や役割、伝え方について考えることができました。友人関係やビジネスの場のコミュニケーションにおいても、言葉の使い方一つに価値観が表れるため、仮説を立てて話すことで深く相手を理解できるようになりたいと思います。私たちは人と関わるとき、その人の言葉にも深く関わっているのだと気づかされるセッションでした。

まとめ

近藤氏のセッションを振り返ってみましたが、いかがだったでしょうか。私と同じく言葉に関心があってコミュニケーションを円滑にしたい人にとって、今後の自分に取り入れていきたいと思えるお話だったのではないでしょうか。紹介したセッションはYouTubeの公式チャンネルで公開中。日々のコンテンツ制作にぜひご活用ください!