世界中から毎年4000人を超えるコンテンツマーケターらが参加する、世界最大のコンテンツマーケティングのカンファレンス「Content Marketing World 2019(CMWorld)」。コンテンツマーケティングのトレンドやTIPSについて、ティーチャー・ジャーナリスト・マーケターという3つの経歴を持つ、株式会社クマベイスの田中森士氏に講演いただきました。
冒頭、田中氏は自身の行動の柱について『100%相手(ペルソナ)の立場に立って、継続的に有益な情報を発信することを通し、信頼関係を構築。何らかの目的達成に繋げることを心がけている』と紹介。『そのためには「顧客視点」と「コンテンツマーケティング的思考」を持つことが重要である』と指摘し、セッションは始まりました。
田中氏は、まず米国のコンテンツマーケティング業界で研究されているテーマについて紹介(以下はその一部)。
その上で、米国のコンテンツマーケティングの研究は、日本より圧倒的に先を進んでおり、大きく水をあけられている状況にあるという。
次に、田中氏はCMWorld2019のkeynote(基調講演)で紹介された『現代人は時間がない。そのため、より好奇心を刺激するコンテンツが必要である』という言葉を紹介。2019年のトレンドとして以下の3つのキーワードをピックアップした。
一つ目の「メール」については、以下の3つの理由からメールは最適なチャネルであると田中氏は説明。
1については、Facebook投稿のオーガニックリーチがプラットフォーム側のニュースフィードアルゴリズム変更に左右され、かつリーチする割合が減少傾向(現在は数%程度とされる)にあるとみられる点、そしてアジア全体のメール開封率が18.5%( GetResponse 調べ)と高い割合にある点を比較し、メールを活用したマーケティングが効果的であると述べた。
さらに田中氏は、『多くのコンテンツマーケターは、いろんな施策を満遍なくやっているが、どれも中途半端になってしまっている』と指摘。『オーディエンスが求めている期待値を超えるには、施策は絞って集中することが大事である』とした上で、ポイントとして以下の3点を挙げた。
また田中氏は、自身が代表を務めるクマベイスのマーケティング施策を事例として紹介。ブログ記事やKindle本などのコンテンツ経由でメールマガジンに登録した人たち(サブスクライバー)に、さらにイベントやプレスリリースなどのコンテンツを届けてセールスにつなげる戦略フローが効果を上げていると明かした。
二つ目のコンテンツマーケターの「キャリア」。冒頭のコンテンツマーケティングの研究テーマと同様、キャリアに関する職の研究も増えているという。その中で、田中氏は『コンテンツマーケターは「T型人材」となっていくことがキャリア構築に重要である』と説明。以下はそのスキルについて一部を紹介した。
〈「General」スキル(Tの文字の横)〉
Tの文字の縦は、上記の中で最も得意な分野を極めていく「スペシャル」スキルであるという。田中氏は『これからのコンテンツマーケターには専門的なスキルだけでなく、学校の教科書などでは学べないソフトスキルも求められている』と説明した。
〈ソフトスキル〉
三つ目の「ストーリーテリング」については、米国で数年前から注目されていているものだ。田中氏は『米国ではジャーナリズム業界の知見を生かしてストーリーテリングがメソッド化されている』と紹介。特に、現在は動画やインフォグラフィックなどを用いてストーリーを視覚化する「ビジュアルストーリーテリング」がトレンドであるという。
田中氏は、これまでの経験から『Depending on Your Personas(結局は「ペルソナ」次第)であり、ストーリーがあって、ペルソナがいて、適切な見せ方(ビジュアライズなどを選択する)を考えることが必要である』と説明した。
年に10万キロ以上移動し、世界各国を訪れている田中氏。そこで感じた最も重要なことは「CULTURE」であるという。
『カルチャーを醸成するのは、人、歴史、プロダクトである。そして、長く選ばれている商材はカルチャーがあり、それをストーリーで伝えている』
田中氏の話は徐々に熱を帯びていく。田中氏は、会場に『なぜ、そのビジネスを展開しているのか、をストーリーで伝えられているでしょうか?』と会場に問いかけた。
さらに、『コンテンツマーケティングは腰を据えて取り組むべき戦略であり、CMWorld2019のkeynoteでは最低18カ月間は取り組むべきであると主張されていた』と強調。その上で、『ビジネスで最重要なのはミッション。目的となるミッションにフォーカスすることで、ゴール、戦略、施策、具体的なタスクといった手段を考えることができる』と指摘した。
〈田中氏の指摘〉
田中氏は最後に、『マーケティングテクノロジーツールは現在、7000を超えるサービスが展開されている。つまり、「あなたは何者か」を表現しなければオーディエンスに選ばれないということである』と説いた。「手段から本質へ」「日本のコンテンツマーケティングを前進させましょう!」と強いメッセージを発信して、セッションを結んだ。
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