フィールドワーク

AIエージェントが変えるマーケティングの未来~消費者がAIを使って企業に問い合わせる時代の到来~

作成者: CMA|Dec 18, 2025 7:59:02 AM

コンテンツマーケティング・アカデミーのスタッフ3名が、マーケティングやコンテンツにまつわるテーマについて、気ままにフリートークします。 

今回は、AIエージェントがマーケティングに与える影響について語り合いました。GoogleやOpenAIが進めるAIエージェント機能の登場で、消費者の購買行動はどう変わるのでしょうか? 

参加者プロフィール 

村上健太 
コンテンツマーケティングアカデミー、チーフストラテジスト。
企業のコンテンツ戦略立案に携わり、最新のAI技術動向をウォッチしている。 

髙山はるみ 
コンテンツマーケティング、リサーチャー。
長年企業ウェブサイトの制作に携わり、検索技術の変化を現場で実感している。
 

今井静香 
コンテンツマーケティング、リサーチャー。
生成AIの活用に関心が高く、新しい情報検索の可能性を探求中。

#1 マーケティングテクノロジーのカオスマップとAIエージェント

村上 chiefmartec(チーフマーテック)という団体が毎年発表している「マーケティングテクノロジーカオスマップ」をご存知ですか?日本ではアンダーワークスさんが日本版を出していますが、その元ネタになっているグローバル版です。今年も12月に発表されるのですが、その中で注目されているのが「AIエージェント」なんですね。 

今井AIエージェントって、具体的にはどんなものですか? 

村上:大きく分けて3つに分類されています。一つ目は「マーケター向けエージェント」で、マーケティング担当者が業務で使うもの。二つ目は「顧客向けエージェント」で、企業側から消費者に向けて、カスタマーサービスや販売促進をスムーズにするために導入するもの。三つ目は「顧客を代理するエージェント」で、消費者側に立って代わりに行動してくれるAIです。 

高山:消費者に代わって行動してくれるAIというのは、どういうことですか? 

村上:情報収集、比較検討、購買の自動化など代理で行ってくれるイメージです。例えば、OpenAIShopifyEtsyといったECサイトと連携して、ChatGPT内で直接商品を購入できる機能を提供し始めています。 大手スーパーマーケットのWalmart とも提携したので、AIを使ったネット購入はこれからどんどん広がっていくでしょうね。

引用: chiefmartec
https://chiefmartec.com/2025/11/buyer-side-agents-are-the-real-disruption-a-sneak-preview-of-our-martech-for-2026-report/

 

#2 AIが代わりに電話をかけてくれる時代

村上:さらに驚いたのが、GoogleAIモードで実装されている機能です。なんと、AIが地元の店舗に電話をかけて、価格や在庫状況を確認してくれるんです。 

今井:えっ、AIが電話をかけてくれるんですか?すごいですね! 

村上:例えば「初心者向けのエレクトリックギターを探している」と検索すると、Googleが近くの楽器店に電話をかけて、価格や在庫を調べてくれる。結果はメールで報告してくれるんです。 

今井:めちゃくちゃ便利ですね。海外旅行で英語が話せない時とか、代わりに電話してもらえたらありがたいです。 

高山:私も在庫確認とか、ネットと実店舗の価格比較とか、やってほしいことはたくさんありますね。昨日も子供の書き初め用品を探すのに、近所のお店に売っているかどうか調べるのが大変で…。 


引用: chiefmartec
https://chiefmartec.com/2025/11/buyer-side-agents-are-the-real-disruption-a-sneak-preview-of-our-martech-for-2026-report/


#3 企業と消費者の「逆転劇」

村上:この記事で「逆転劇」という表現が使われていて、なるほどと思いました。これまでは企業が自動音声やチャットボットで顧客対応を自動化してきましたよね。サポートに電話すると人間ではなく機械が対応する、という流れです。 

今井:確かに。最近はどこに電話しても、まず自動音声ですもんね。 

村上:それが今度は、消費者側がAIを使って企業に問い合わせしてくる時代になった。まさに逆転です。企業としては、AIからの問い合わせにどう対応するかが新たな課題になってきます。 

高山:そうなると、電話をかけるのもAI、受けるのもAIということになりそうですね。 

村上:まさにその通り!AIエージェント対AIエージェントの世界ですね。消費者がスパでくつろいでいる間に、AIが代わりに問い合わせをして、結果をメールで報告してくれる。一方、営業担当者はAIからの着信がガンガン増えていく…という構図です。 

今井:営業担当者は大変そうですね。でもAIからの電話を無視したら、競合に取られちゃうかもしれないし…。

 

#4 マーケターはどう対応すべきか

村上:これはGEO(生成エンジン最適化)だけの話ではないんですよね。AIが電話で問い合わせしてくる時代ですから、デジタル空間だけではなくリアルの店舗対応も、生成AI時代のマーケティングの観点から見直す必要があるかもしれません。 

今井:これまでは、メールやウェブサイト、SNSが中心でしたけど…。 

村上:そうですね。「サーチエブリウェア (Search Everywhere) 」という言葉がありますが、消費者はあらゆるチャネルから情報を集める時代です。AIを使った電話での問い合わせも、その一つになるでしょう。 

高山:対AIエージェントのマーケティングって、どうしたらいいんでしょうね。人間相手のように言いくるめたり、ごまかしたりはできなさそうです。 

村上:そこがポイントですね。「詳しくはお店に来ていただいて…」というような曖昧な対応は通用しなくなる。AIは具体的な情報を求めてきますから、正確で明確な情報提供が必要になります。 

今井:変化が早いですね。もうすぐそこまで来ている感じがします。 

村上:そうですね。日本でどこまで広がるかはわかりませんが、誰でも使えるようになるのは時間の問題でしょう。代わりに電話をかけてメールで報告してくれるって、とっても便利ですからね。 

 

まとめ

今回は、AIエージェントがマーケティングに与える影響について話し合いました。これまで企業がAIで顧客対応を自動化してきた流れが、今度は消費者がAIを使って企業に問い合わせる「逆転劇」へと変わりつつあります。GEO対策だけでなく、AIからの問い合わせにどう対応するかが新たな課題に。「対AIエージェントのマーケティング」という新しい視点で、自社の顧客対応を見直す時期が来ているのかもしれません。 

執筆・編集:Content Marketing Academy